* * * *
「…ス様?リリス様?」
「…ん、はい?」
誰かに肩を揺すられ目を覚ます。
あぁ…私あれから寝ちゃったんだ…。
「おはようございます、リリス様。ソファーでお休みになられては風邪を引いてしまいますよ…?」
「…あ、はい。すみません」
体を起こすと、少し痛みを感じた。ちゃんとベッドに横にならなかったせいだろう。
「お体の方は大丈夫ですか?」
「大丈夫です…えっと、あなたは…」
昨日は確か会わなかった人だ…。
首を傾げ、目の前の女の人を見つめる。
「あっ!申し遅れました。私、ミーヤと申します。リリス様のお世話を仰せつかって参りました」
ニッコリとミーヤさんは私に笑いかける。
ミーヤさんも綺麗な人だなぁ…。
真っ直ぐな茶髪の長い髪をポニーテールにして結っている、綺麗な緑の目の人だ。歳は私より少し上くらいだろうか。
このお城の人って綺麗な人が多いのかなぁ…?
「お着替えのお手伝いをさせて頂きますね」
「え?いやっ、自分で出来ますよ!?」
「いえ…リリス様のお手伝いを、とルイス様から命じられて下りますので」
必死に断るが、ミーヤさんも困ったように眉を下げた。お城の生活では着替えの手伝いも当たり前なのかもしれないけど、私に手伝ってもらう理由もない。
それにどこかの貴族じゃあるまいし、着替えの手伝いなんて…。
大体、様なんて付けられる様な身分ですらないのだ。
「あの…本当に大丈夫ですよ?」
「そうは行きません!!私が叱られてしまいます」
叱られるのは…それはそれで申し訳ない。
仕方なく此方が折れるしか無いようだ。
「じゃぁ…その、お願いします…ミーヤさん」
「はい、お任せください!それから私の事はミーヤとお呼びくださいませ」
そう言って彼女は満面の笑を浮かべる。
シュンとしたり、笑ったり。なんだか可愛らしい人だ。
昨日はお風呂に入らず寝てしまった為、先にシャワーを浴びさせてもらった。
ミーヤはバスルームにまで入ってこようとするから、流石にそれだけは断った。
バスルームから出ると手際良くドレスに着替えさせられ、髪を整えられる。
「リリス様の髪は本当に綺麗ですね~、瞳も思わず魅入ってしまいそうです」
私の髪を結いながら、ミーヤが呟いた。
同じ女の人に褒められ、何だか擽ったい気持ちになる。
「そんなことないですよ!初めは赤い色だったし…こんなの変ですから」
「まぁっ!変だなんて、そんな事ありませんよ!赤い髪も、さぞお綺麗でしょうね」
屈託の無い笑みでそう言われ、恥ずかしくなって顔を俯かせた。赤い髪が綺麗なんて…初めて言われた。
それに、こんな風に誰かに髪を結ってもらうのも初めてだ。いや、実際は経験があるのかも知れないが記憶が無い。
「さぁ、出来ましたよ!」
満足げにミーヤは私に鏡を向けた。
「わぁ…私じゃないみたい」
髪はふんわり纏められていて、服も桃色の髪と瞳にぴったりの白いドレス。
「本当にお綺麗ですよ!」
着飾りすぎていないのに、どこか華やかで。彼女のセンスの良さに驚くばかりだった。
「ありがとうございます、凄く可愛い…!」
まるでお姫様にしてもらった気分で、嬉しくて顔を綻ばせた。そのまま笑顔をミーヤに向ける。
「ふふっ、リリス様は笑顔が似合いますね」
「え?ごめんなさい、私無愛想だから…」
「いえ!ただ、少し落ち着かれて居ると言いましょうか…どこか寂しげな雰囲気が感じられましたので」
あまり気になさらないで下さいね?と言うミーヤに、私は頷いた。
皆こんなに親切にしてくれてるのに、無愛想じゃ失礼になってしまう…。なんとか態度を改める必要があるな。
「ではリリス様、ルイス様がお待ちですから参りましょうか」
「え?はい、分かりました」
待たせて居たと知らずに、随分とモタモタしてしまった気がする。急いで立ち上がり、慣れないドレスに苦戦しながらもミーヤに付いて行った。
「…ス様?リリス様?」
「…ん、はい?」
誰かに肩を揺すられ目を覚ます。
あぁ…私あれから寝ちゃったんだ…。
「おはようございます、リリス様。ソファーでお休みになられては風邪を引いてしまいますよ…?」
「…あ、はい。すみません」
体を起こすと、少し痛みを感じた。ちゃんとベッドに横にならなかったせいだろう。
「お体の方は大丈夫ですか?」
「大丈夫です…えっと、あなたは…」
昨日は確か会わなかった人だ…。
首を傾げ、目の前の女の人を見つめる。
「あっ!申し遅れました。私、ミーヤと申します。リリス様のお世話を仰せつかって参りました」
ニッコリとミーヤさんは私に笑いかける。
ミーヤさんも綺麗な人だなぁ…。
真っ直ぐな茶髪の長い髪をポニーテールにして結っている、綺麗な緑の目の人だ。歳は私より少し上くらいだろうか。
このお城の人って綺麗な人が多いのかなぁ…?
「お着替えのお手伝いをさせて頂きますね」
「え?いやっ、自分で出来ますよ!?」
「いえ…リリス様のお手伝いを、とルイス様から命じられて下りますので」
必死に断るが、ミーヤさんも困ったように眉を下げた。お城の生活では着替えの手伝いも当たり前なのかもしれないけど、私に手伝ってもらう理由もない。
それにどこかの貴族じゃあるまいし、着替えの手伝いなんて…。
大体、様なんて付けられる様な身分ですらないのだ。
「あの…本当に大丈夫ですよ?」
「そうは行きません!!私が叱られてしまいます」
叱られるのは…それはそれで申し訳ない。
仕方なく此方が折れるしか無いようだ。
「じゃぁ…その、お願いします…ミーヤさん」
「はい、お任せください!それから私の事はミーヤとお呼びくださいませ」
そう言って彼女は満面の笑を浮かべる。
シュンとしたり、笑ったり。なんだか可愛らしい人だ。
昨日はお風呂に入らず寝てしまった為、先にシャワーを浴びさせてもらった。
ミーヤはバスルームにまで入ってこようとするから、流石にそれだけは断った。
バスルームから出ると手際良くドレスに着替えさせられ、髪を整えられる。
「リリス様の髪は本当に綺麗ですね~、瞳も思わず魅入ってしまいそうです」
私の髪を結いながら、ミーヤが呟いた。
同じ女の人に褒められ、何だか擽ったい気持ちになる。
「そんなことないですよ!初めは赤い色だったし…こんなの変ですから」
「まぁっ!変だなんて、そんな事ありませんよ!赤い髪も、さぞお綺麗でしょうね」
屈託の無い笑みでそう言われ、恥ずかしくなって顔を俯かせた。赤い髪が綺麗なんて…初めて言われた。
それに、こんな風に誰かに髪を結ってもらうのも初めてだ。いや、実際は経験があるのかも知れないが記憶が無い。
「さぁ、出来ましたよ!」
満足げにミーヤは私に鏡を向けた。
「わぁ…私じゃないみたい」
髪はふんわり纏められていて、服も桃色の髪と瞳にぴったりの白いドレス。
「本当にお綺麗ですよ!」
着飾りすぎていないのに、どこか華やかで。彼女のセンスの良さに驚くばかりだった。
「ありがとうございます、凄く可愛い…!」
まるでお姫様にしてもらった気分で、嬉しくて顔を綻ばせた。そのまま笑顔をミーヤに向ける。
「ふふっ、リリス様は笑顔が似合いますね」
「え?ごめんなさい、私無愛想だから…」
「いえ!ただ、少し落ち着かれて居ると言いましょうか…どこか寂しげな雰囲気が感じられましたので」
あまり気になさらないで下さいね?と言うミーヤに、私は頷いた。
皆こんなに親切にしてくれてるのに、無愛想じゃ失礼になってしまう…。なんとか態度を改める必要があるな。
「ではリリス様、ルイス様がお待ちですから参りましょうか」
「え?はい、分かりました」
待たせて居たと知らずに、随分とモタモタしてしまった気がする。急いで立ち上がり、慣れないドレスに苦戦しながらもミーヤに付いて行った。