「今日はもう終わりですから、ゆっくり体を休めて下さいね?」
疲れたでしょう?とビリアさんは心配げに眉を下げる。
いえ、大丈夫ですと首を振って笑って見せた。
お城の前に馬車を止めてもらい、ルイスさんと私を降ろしてもらう。
ペコリと頭を下げてビリアさんを見送った。
「リリス、お疲れ様。体は大丈夫?」
「はい、全然大丈夫ですよ」
正直な所、こんなに力を使った事が無いからか大分疲れた。体が重く感じる。
「…本当に大丈夫かい?顔色もあまり良くない」
「本当ですよ?平気ですから、お城に入りましょう?」
門を潜ろうとした所で軽い目眩に襲われる。
「…っあ」
「っリリス!!」
ルイスさんに体を抱きとめられ、地面に倒れる事は無かった。
貧血の様な…目が回っている様な感覚がしてクラクラする。でも耐えられない程じゃない。
「すみませんっ、ルイスさん…」
もう大丈夫ですと言おうとした時、ルイスさんの腕が体に周りぎゅっと抱きしめられた。
「あっ、あの…っ」
「やっぱり無理させたみたいだ。ごめんね、もっと早く気付くべきだったよ」
「違うんです!まだ慣れてないので、少し疲れただけで…」
暖かい温もりに包まてれ、心臓が煩い程に暴れる。この音がルイスさんに聞こえてしまいそうだ。
「無理しちゃ駄目だよ。今日はもう休んだ方がいい…」
そう言うと、膝裏に手を差し入れられ抱き上げられる。所謂お姫様抱っこ…と言う奴だ。
「ちょっ!!私重いですからっ!!」
焦って軽く体をバタつかせるが、ルイスさんの腕はびくともしない。恥ずかしすぎて顔から火が出そう。
「そんな事はないよ。むしろ軽い位だ」
私を抱き上げたままルイスさんは城の中に入っていく。こんな所誰かに見られたらと更に焦ってしまう。
「お願い、部屋まで運ばせて…」
「…あの」
そう呟く彼の声は本当に小さくて、こうして近づいていないと聞き取れなかっただろう。
どこか悲しそうな声色に、突っ張っていた腕の力を抜く。
「君がこの世界に来てくれて、この国も勿論平和になる。それは凄く喜ばしい事だ。王子としても国が守れるのは嬉しい…」
でもね…と言葉を紡ぎながら、少しだけルイスさんの腕の力が強くなる。
「何だか君を利用してるみたいで…ね。こうして無理に力を使わせて倒れて欲しくなかったんだ」
ごめんね、君に迷惑をかけてしまっている…。そう眉を下げて言われると私も胸が苦しくなる。
違う…。迷惑なんてかけられていない。むしろ私に居場所を貰えて感謝しているんだ。
「そんな事言わないで下さい。私は皆さんの役に立てて嬉しいですよ?大袈裟ですけど、私の居場所を貰えたみたいで…」

