「まずはこの家からです」
馬車から降り、ビリアさんに続いて入口に向かう。また少し緊張してきた…。
ふと、頭にぽんと何かが乗る感覚がして後ろを振り返る。
「リリス、そんなに不安そうな顔をしなくてもいい。大丈夫だよ」
優しく微笑まれ、ホッと心が落ち着く。暖かくて大きな手…この手が凄く好きだ。
何だか色々と彼には助けてもらっていて、申し訳ないな…。でも凄くありがたい。
「はい、ありがとうございます」
頷いて、ビリアさんの後を追う。悩んでいても何も変わらない。しっかりしなければ。
「ビリア様っお待ちしておりました!!どうか息子を…!!!」
「ええ、落ち着いてください。リリス、お願いしますね」
「はい…」
息子さんの部屋に案内してもらい、彼の母親にも何度も頭を下げられた。
なんとかしてあげたい…。
「ぅ…はぁ…はっ」
「一昨日位から酷い熱で…」
一昨日…丁度私がこの世界に戻って来た日か…?
とにかく治療を…。
額に触れてみるとかなりの熱で、この子は凄く苦しいだろう。早く治してあげたい。
そっと額を撫でながら、意識を集中させる。暫くすると手から光が溢れ、男の子を包み込む。
よかった、大丈夫そうだ。
光が消える頃にはすっかり良くなっている様で、穏やかに寝息を立てている。
ちゃんと治すことが出来てホッとした。
「あぁ…っ、女神様ありがとうございます!!何とお礼を申したらいいか…っ」
「いえ…そんな。治って良かったですね」
涙を浮かべてお礼を言うこの母親を見ていると、この子は凄く愛されている事が分かる。
こんなに愛してくれる親がいてくれるんだ、きっと幸せだろうな…。
「じゃあ、私達はこれで…」
まだ行かなくては行けない家が数件あるらしく、挨拶だけしてここを後にした。
馬車に乗る前、ルイスさんがまた頭を撫でてくれた。今回は良かったね、と微笑みながら。私も嬉しくなって微笑み返す。
よし、次も頑張ろう…。
次に行った所では奥さんが倒れたらしく、彼女も昨夜急に体調を崩したらしい。変な違和感を感じたが、まずは治療に取り掛かる。
まだ力が不安定なのか、先程よりも時間がかかったがちゃんと治療が出来た。
他にも数件周り、直ぐに治せたり少し時間がかかったりとあったが何とか成功できた。
「リリス、今日はご苦労様でした。助かりましたよ」
「いえ、お役に立てて良かったです」

