「久しぶりだね、会いたかったよ」
そっと頭を撫でられ、微かに頬が熱を帯びる。
頭を過るのはこの世界を出発した夜、額に口付けされたあの光景。
「ありがとうございます。私もですよ」
何だか照れてしまい、はにかんだような笑いになってしまった。変な顔していないか心配になる。
「…何だか少し明るくなったみたいだね?向こうで何かあったのかい?」
「え?あぁ…向こうでも友達ができたんですよ。前よりも楽しい時間が過ごせたので」
それにまたこうしてルイスさん達に会えて嬉しいんです。と伝えるとルイスさんも嬉しそうに微笑む。
「そう、それは良かったね」
ルイスさんは凄く聞き上手と言うか…ついつい楽しくなってしまい、調子にのって色々話してしまった。
「…告白?」
…あ、つい余計な事まで口走ってしまった。
ピクリとルイスさんの眉が微かに動く。
わざわざこんな事言って自慢みたいに思われるのは嫌だな…。
「…それは、どう返事したんだい?」
「そういう恋愛とかよく分からないので。断りましたよ?」
颯太君も、どうして私なんかに告白して来たのか今一分からないんだけど。
断ったと言うとルイスさんはほっとした様に、そうか。と呟いていた。
「リリスは可愛いからね。色々気をつけるんだよ?」
「…え?…はい」
何に?と聞いたのだが、色々。と誤魔化されてしまい結局分からなかった。
ルイスさんもそろそろ仕事に戻らないといけない頃だろう。夜も遅くなってしまう。
話の区切りが着いた所でお暇させてもらった。
一度ミーヤにも会って置きたいが、まだ彼女は仕事中だろうか…。
彼女の事だから、部屋に戻って待っていたら顔を出してくれそうだが。一先ず部屋に戻ろう。
まぁ、今日会えなくとも明日に会えばいい事だ。彼女の仕事の邪魔はしていられない。
「リリス様!!」
部屋のドアノブに手をかけた所で呼び止められ、私は動きを止めた。
「ミーヤ、久しぶり!」
「お帰りになられたのですね!!お待ちしておりました」
パァッと花が咲いたように笑うミーヤに私も破顔する。
ミーヤも相変わらずな様で良かった。
「今日は会えないかなと思ってたんだけど…会えて良かったよ」
「そろそろお見えになられているかと思いましたので、お顔だけでもと!」
ゆっくり話をしたかったのだが、はやりまだ仕事が残っているらしく顔だけ見に来たらしい。
また後日ゆっくりしようと、ミーヤと別れて部屋に入った。
今日は特にする事も無いから、このままお風呂に入って寝てしまおう。
クローゼットの中にはしっかりとネグリジェも用意されて居るため、借りてタオルを持ってお風呂を済ませそのままベッドで眠りに付いた。

