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今日も普通に学校に行って帰ってくる。しっかり日も沈み空には満月が浮かんでいた。
鏡が有れば向こうの世界と行き来が出来るため、湖には行かずに窓の側に姿見を持ってきて満月を写す。
「これでいいのかな…」
軽く鏡に触れると、波紋の様に表面が波打ち指がスッと入っていく。
どうやら大丈夫そうだ。
一応戸締りなどは全て済ませてあるため準備は万端。さて、出発しよう。
ゆっくりと鏡の中に体を滑り込ませた。スルンと体が鏡の中に入り込む。
来た時同様、薄紫色の空間をゆっくり歩いていく。暫くすると先の方に光が見え始めた。
小走りでその光の方へ向かい通り抜けると、ふわりと体が浮く感覚がして意識が遠のいていった。
目を開けると、丁度お城の近くに出てきた様だ。
「えっと…こんばんは」
「これはリリス様、お帰りになられたのですね」
門の警備をしている人に声をかけると、王達がお待ちですよ。と中に通してくれた。そのまま真っ直ぐ王室に向かい、扉をノックする。
「入りない」
「失礼します、ダリウスさん…」
少し扉を開けて顔を覗かせると、ダリウスさんは驚いた様に目を丸くした後ニコリと笑った。
「お帰り、リリス。待っていたよ」
お帰り。その一言がじんわりと心を暖かくしてくれる。元の世界だと1人だった家で、勿論お帰りなんて言ってくれる人は居ない。
素直に嬉しいなと思った。
「ルイス達も、リリスの帰りを今か今かと待っておったよ。顔を見せておやり」
ルイスは部屋に居るだろうから。と部屋の場所を教えてもらい、その部屋に行って見ることにした。
…えっと、確かここを曲がってすぐだった筈…。角を曲がると一つだけ部屋があるので恐らくここだろう。
小さくノックすると、どうぞ。と声がかかる。間違いないルイスさんの声だ。
「失礼します…」
部屋に入るとルイスさんは仕事中だったようで、書類に目を通している所だった。
「お久しぶりです、ルイスさん。リリスです」
そう言うと書類に落としていた顔を上げ、ふわりと微笑む。
「お帰り、リリス。そろそろかなって思ってたよ」
書類を端に寄せルイスさんはデスクを離れソファに座る。さぁ、入って?と手招きし、自分の隣をポンポンと叩いていた。
「でも、お仕事中じゃ…」
「急ぎの物じゃ無いから大丈夫だよ。」
「…じゃあ」
お言葉に甘えて隣に座る。相変わらずとても綺麗な人だ。隣に感じる存在に、心臓は少しずつ鼓動を早めていく。
久しぶりに会ったから…緊張してるのだろうか。