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あれから暫く経ち、私は凛を含めあの二人と一緒に居させて貰っている。
名前は香と優奈。三人には呼び捨てで呼んでいいよ!との事で今はこう呼んで居る。3人も私の事はリリスと呼び捨てだ。
これだけでも私にとっては色々と進歩したと思う。脱コミュ障…出来るかもしれない。
そしてここ最近変わった事が一つ。
「リリスちゃん、ちょっといいかな?」
知らない男子に呼び出された事があった。何かやらかしたのかと思い、正直ビクビクしながら付いて行くと校舎裏。
「あのさ…良かったら…俺と付き合わない?」
「…はい?」
「一目惚れしちゃってさ、前から気になってたんだけど声かけらんなくてね」
そう言って苦笑する彼は爽やかな感じの好青年というイメージを感じさせる。
「ダメかな…?リリスちゃん最近明るくなって可愛くなったし。」
「いや…あの、私は…」
つい最近までろくに人と話も出来なかった私がだ。恋人?普通に考えて無理だろう。それにこの人の事は名前も何も知らない訳で…。
「ごめんなさい、私そういうの良く分からなくて…」
これが本音だ。すごく申し訳ないと思いながらペコリと頭を下げる。
「そっか…残念だなぁ」
「ぁ…本当にごめんなさい」
「いや、いいんだよ。有難う返事くれて!あ。でも友達って事じゃダメ?もっとリリスちゃんと話したいしさ」
友達…。ならと小さく頷くと、彼は嬉しそうに笑った。また1人友達が増えたと思うと私も嬉しい。
ルイスさん以外の男と人と話す機会も無かった為、割と新鮮な気持ちだ。
彼は颯太君と言うらしい。隣のクラスだそうだ。
告白をしてくれた彼には感謝も伝え、午後の授業も始まりそうな頃だ。彼と別れ教室に戻った。
戻った後凜達に色々と聞かれたのは、言うまでもないだろう。
女の子は本当にこういった話が好きなんだなと実感した。
どう話していいかも分からず、大分曖昧に説明する事になった事は大目に見て欲しい。
午後の授業も終わり、放課後時間を潰して暗くなった帰り道を歩く。ほんの少し欠けた月がぽかりと浮かんでいる。
「明日は満月だ…」
皆に会える…。そう思うと自然と笑が浮かんでくる。凜達も勿論好きだが、向こうの皆にも早く会いたい。
早く明日にならないかと浮かれてしまう。
軽い足取りで私は帰路に着いた。

