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「…ん、あれ…私」
倒れていた体を起こし辺りを見渡すと、そこは私が落ちた湖だった。
しばらくぼーっと湖に映る月を眺めた後、とりあえず帰ろうと家に向かった。
私はどの位この世界で居ない事になってたのだろうか。学校は…間違いなく無断欠席扱いになってるだろうな…。
先生になんて言い訳しようか。体調不良とかで誤魔化せるかな。
友人と言える者は正直居ない為、そこは心配ない。
まず明日どうしようかと思考を巡らせ、家の扉を開けた。
しん…と静まり帰ったそこは、帰ってきたんだと実感させられる。
誰も居ない空間はこうも寂しい物だったかと微かに目を細めた。
「寂しい…な」
ポツリと静まり返った部屋に呟きが溶ける。
あぁ、こんな事じゃ駄目だ。帰って来たばかりなのに。少し向こうの人達に甘えすぎてしまったのだろう。
しっかりしなくちゃ…。
「今日、何日だろう」
デジタル時計を手にして日付を確認すると、驚きで暫く固まってしまった。
「え…どうして…」
私があの世界に行ってから、殆ど時間が経っていない。日付もそのままだ。確か0時を回った位に私は家を出て湖に向かったんだ。
今の時刻は1時少し前くらい。
「えーっと…学校の心配は…しなくてよくなったのか」
無断欠席にもなっていない。一先ず先ほどの心配事は杞憂だった様だ。
不思議なのに変わりは無いが、もうこういう事なのだろう。考えたってどうせ分からない。
「いいや、もう寝よう」
色んな事があって学校に行くのはかなり面倒だが、サボり癖がつくのはあまり好きじゃない。
さっさと布団に潜り込んで目を閉じた。
眠れるかとは思っていたけど、体は少し疲れていた様で直ぐに眠りに落ちた。

