* * * *
夜になり、私はダリウスさんに夕食を一緒にどうかと誘われた。
ルイスも居るぞ?と言われ、家族の食事に部外者の私は明らかに邪魔だろう。
しかし、中々ダリウスさんも諦めてくれなく、食事の席にお邪魔させてもらう事にした。
「ほう、そんな事が…」
感心した。と言わんばかりの表情でダリウスは頷いた。今日起こった事を、ルイスはダリウスに報告していた。
「リリス、君の力は間違いなく多くの人々を救うだろう」
「そんなっ!私は…」
「いや、これは運命だ。君がいる限り、この国は平和に過ごす事が出来る。何と喜ばしい事か…」
そう話すダリウスの顔は本当に嬉しそうで、目元に皺を寄せて笑っていた。
本当に心からこの国を大切に思っていると言うことが良く分かる。
「しかしリリスは本当に可愛い顔をしておる」
ははっ!!と豪快に笑いながら、ダリウスはわしわしとリリスの頭を撫で始めた。
上機嫌な声色に、リリスは彼の手元に視線を持っていく。
その手にはワイン…だろうか。グラスを持っていた。
あぁ、きっと酔っているのだろう。
先程から気分が良いのか、ワインを飲むペースは変わらない。
陽気に笑う彼を見ていると自分も吊られて笑ってしまう。
「父上、リリスが困っているではありませんか。飲みすぎですよ」
「何、偶には良いではないか。リリスも楽しんでおるだろう?」
「え?えっと…」
ダリウスさんとルイスさんを交互に見つめた。
「…私、こんな風に誰かと食事をした事が無くて…それに、こんな風に頭を撫でられた事も無いんです。だから凄く楽しい…」
少し照れくさくてはにかむ様に笑う。
「君は…リリスは本当に良い娘だ!」
ダリウスはまたリリスの頭をわしゃっと撫で始める。
穏やかな印象のあるダリウスさんは、お酒が入るとこうも変わるのか…。
何だか本当に楽しくて、こんな時間がいつまでも続けばいいのにと思ってしまう。
あぁ…帰りたくなくなりそうだ。
「そういえば、もうすぐ満月の晩だね?」
そんな事を考えていると、良いタイミングでルイスはそうポツリと言った。
「おぉ、そうであったな。もう直ぐか…」
この世界の月の満ち欠けは、私の居た世界とは違って随分と速いらしい。
時間の経ち方は変わらないのに、本当に不思議な世界だ。
満月…と言う事は、私は自分の居た世界に戻らなければならない。
…何処かのお伽話じゃ無いんだけど。あの月に帰るお姫様のあれだ。
「また戻ってきてくれるね?」
ルイスは心配げにリリスを見つめる。
「迷惑でなければ…また来たいです」
いつまでもお城で過ごさせて貰うなんて、やはり気が引けてしまうが。ルイスさん達と過ごす時間は本当に楽しい。
「それなら問題ない。君は女神なのだぞ?何より私も娘が出来たようで嬉しい。このまま此処に済むと良い」
うんうんと頷きながらダリウスさんは言う。
「本当に…いいんですか?」
「勿論だよ、遠慮する事は無い」
今度はルイスさんが微笑みながら頷いた。
二人の優しさに、胸が暖かくなる。
私には良く分からないが、こういう物を家族と呼ぶのだろうか。
「ありがとうございます…!私、本当に嬉しい…」
お礼を言いながら頭を下げ笑顔を見せる。よくよく考えると、自分はこんなに笑う事があっただろうか。彼らから私の笑顔は引き出されている気がする。
この時見せたリリスの笑顔を、ルイスが柔らかく微笑みながら見つめていた事に彼女は気づかなかった。
夜になり、私はダリウスさんに夕食を一緒にどうかと誘われた。
ルイスも居るぞ?と言われ、家族の食事に部外者の私は明らかに邪魔だろう。
しかし、中々ダリウスさんも諦めてくれなく、食事の席にお邪魔させてもらう事にした。
「ほう、そんな事が…」
感心した。と言わんばかりの表情でダリウスは頷いた。今日起こった事を、ルイスはダリウスに報告していた。
「リリス、君の力は間違いなく多くの人々を救うだろう」
「そんなっ!私は…」
「いや、これは運命だ。君がいる限り、この国は平和に過ごす事が出来る。何と喜ばしい事か…」
そう話すダリウスの顔は本当に嬉しそうで、目元に皺を寄せて笑っていた。
本当に心からこの国を大切に思っていると言うことが良く分かる。
「しかしリリスは本当に可愛い顔をしておる」
ははっ!!と豪快に笑いながら、ダリウスはわしわしとリリスの頭を撫で始めた。
上機嫌な声色に、リリスは彼の手元に視線を持っていく。
その手にはワイン…だろうか。グラスを持っていた。
あぁ、きっと酔っているのだろう。
先程から気分が良いのか、ワインを飲むペースは変わらない。
陽気に笑う彼を見ていると自分も吊られて笑ってしまう。
「父上、リリスが困っているではありませんか。飲みすぎですよ」
「何、偶には良いではないか。リリスも楽しんでおるだろう?」
「え?えっと…」
ダリウスさんとルイスさんを交互に見つめた。
「…私、こんな風に誰かと食事をした事が無くて…それに、こんな風に頭を撫でられた事も無いんです。だから凄く楽しい…」
少し照れくさくてはにかむ様に笑う。
「君は…リリスは本当に良い娘だ!」
ダリウスはまたリリスの頭をわしゃっと撫で始める。
穏やかな印象のあるダリウスさんは、お酒が入るとこうも変わるのか…。
何だか本当に楽しくて、こんな時間がいつまでも続けばいいのにと思ってしまう。
あぁ…帰りたくなくなりそうだ。
「そういえば、もうすぐ満月の晩だね?」
そんな事を考えていると、良いタイミングでルイスはそうポツリと言った。
「おぉ、そうであったな。もう直ぐか…」
この世界の月の満ち欠けは、私の居た世界とは違って随分と速いらしい。
時間の経ち方は変わらないのに、本当に不思議な世界だ。
満月…と言う事は、私は自分の居た世界に戻らなければならない。
…何処かのお伽話じゃ無いんだけど。あの月に帰るお姫様のあれだ。
「また戻ってきてくれるね?」
ルイスは心配げにリリスを見つめる。
「迷惑でなければ…また来たいです」
いつまでもお城で過ごさせて貰うなんて、やはり気が引けてしまうが。ルイスさん達と過ごす時間は本当に楽しい。
「それなら問題ない。君は女神なのだぞ?何より私も娘が出来たようで嬉しい。このまま此処に済むと良い」
うんうんと頷きながらダリウスさんは言う。
「本当に…いいんですか?」
「勿論だよ、遠慮する事は無い」
今度はルイスさんが微笑みながら頷いた。
二人の優しさに、胸が暖かくなる。
私には良く分からないが、こういう物を家族と呼ぶのだろうか。
「ありがとうございます…!私、本当に嬉しい…」
お礼を言いながら頭を下げ笑顔を見せる。よくよく考えると、自分はこんなに笑う事があっただろうか。彼らから私の笑顔は引き出されている気がする。
この時見せたリリスの笑顔を、ルイスが柔らかく微笑みながら見つめていた事に彼女は気づかなかった。