破滅の女神 リメイク版

「おはよう、リリス」

「ルイスさん…おはようございます」

王室に続く曲がり角を曲がろうとした時、丁度ルイスさんも其処にやって来た。

「ミーヤ、ご苦労様。後は俺達に任せて仕事に戻って?」

「はい、では失礼致します」

ミーヤはルイスさんに優雅にお辞儀し、私にでは。と小さく微笑んでその場を離れた。

「リリス、そのドレス良く似合っているよ」

「ほ、本当ですか?」

まるで挨拶をするかの様に、ごく自然に褒め言葉をかけられる。

「嘘は言わないよ、本当に綺麗だ」

「ありがとうございます…」

純粋に嬉しくて、リリスははにかんだ笑みを浮かべた。そんな彼女に、ルイスも昨日と変わらない微笑みを返す。

「さぁ、父上が待ってる。行こうか」

「はい」

頷き、二人でダリウスさんの元へと向かった。

大きな扉を二回程ノックし、中に入る。

「失礼致します」

「おはよう。二人とも、待っておったぞ」

開いていた本を閉じ、ダリウスは柔和に二人に笑いかけた。
この笑った目元…ルイスさんにそっくりかも。
とリリスは密かに思う。

「お待たせ致しました、それでビリアは?」

「ビリアは午後に来るそうだ、それまでリリスに城を案内して上げなさい」

「そうですか。分かりました」

「え?でも…ルイスさんも忙しいんじゃ…?」
昨日も部屋に案内してもらってすぐ、ルイスさんは仕事へ戻ったはずだ。
わざわざ案内なんてしてもらったら迷惑だろう。

「構わないさ、ルイスもいいだろう?」

「えぇ、勿論ですよ。丁度気晴らしもしたかった所です」

「ならば決まりだ、昼にもう一度来てくれ」

「はい、さぁ行こうリリス」

「ぁ、はい…。その、ダリウス…さん?」

ルイスに付いて部屋を出ようとしたリリスは、ふと足を止めて振り返る。
なんだい?とダリウスは首を傾げた。

「何から何まで…本当に有難うございます。こんな私に、とても親切にして下さって…」

部屋の提供や着替え。本当にお世話になりっぱなしだ。
もう一度お礼を言って、深く頭を下げる。

「ははっ、そんな事気にせんでも良いんだ。少しでも力になれているなら本望というものだよ」

一瞬きょとんと目を丸くするも、優しく笑いながらダリウスはそう言った。
その言葉に、心がほっと暖かくなる。嬉しくなったリリスも笑みを浮かべ、再び頭を下げて王室を後にした。

さて…ダリウスさんにお礼を言えたのはいいが、問題はルイスさんの方だ。
仕事の邪魔をしてしまう位なら、私は部屋で大人しくしていた方が良い。
とにかく迷惑だけはかけたくない。

「そんな顔しないでくれないかい?もしかして、嫌だった?」

「えっ?そんな事無いです!嬉しいですよ?」

本当に嬉しい…。嬉しいのだが…。