放課後、俺は誘いアイテムを偶然買ったであろうプラスオーラの女の子を待っていた。
「じゃあれい子。正式に移動させるから、守ってあげてね」
『……分かってるわよ』
基本的に、守護霊って自分の意思で憑いたり離れたり出来る。
ただ、上位の守護霊は別だ。一人の人を一生守るのだ。
れい子とれい斗はその上位の守護霊であり、弥生専属といった感じである。まぁ、れい子は訳ありだから仮の専属なのだけど。
「守り終えたら迎えに行くね。あのハンカチも回収しときたいし」
『ふん!サクッと守るから早く迎えに来なさいよね!』
「はいはい、れい子は寂しがりだもんね」
『ちっ、違うわよ!』
俺はちょっと特殊だから、守護霊を付けたりとかも出来る。まあ、うちの家族自体が特殊だしね。
下駄箱の辺りで待っていると、例の誘いアイテムを偶然買ったであろうプラスオーラの……、長いからもうハンカチさんでいいや。ハンカチさんがやって来た。
「あ、ちょっといい?」
声は掛けたものの、何て言おう。普通の人に「死ぬから守護霊憑けていい」とは言えないしなー。うーん、うーん……
「うーん、どうしよう。じゃあ握手」
「は?」
説明面倒クサいし、サッサと移動させちゃおうかな。あ、握手の前にハンカチさんの名前も聞かないと。
「その前に、ハンカチさんの名前教えて貰ってもいい?」
「……ハンカチさん?」
「うん、ハンカチさん」
ハンカチさんは、何ともいえない微妙な顔をしている。まあ相手が俺だしそんなもんか。俺って嫌われてるしー。
名前を聞き、握手する。
『文場笑理、ね。』
れい子が相手の名前を知った時点で、条件は整った。
「あ、じゃあ、失礼します」
「うん、気を付けてね」
『れい斗、アタシがいない間ちゃんと弥生を守りなさいよ』
『はいはい、わかったわかった』
小走りで去って行くハンカチさん……じゃなくて、何だっけ?文場さんだっけ?
まぁいいや、とりあえず後を追いかけよう。もしかしたら救急車が必要になるかもしれないしねー。
あれ、救急車って何番だっけ?

