さっき言っていた“誘いアイテム”とは、その名の通りアチラの世界、つまり死の世界へ誘う道具の事だ。



交通事故や行方不明者の一部は、この誘いアイテムが原因である。これ、豆知識。



それにしても、ちょっと危ないね。



この誘いアイテム、今日持ち主を連れて逝く気だ。



「ねぇ、またお願いできる?」

『ふん!仕方ないわね』



俺は、隣にいるれい子に話しかける。



れい子は、長い黒髪に淡い黄色の着物姿の美人さんである。いつもこんな態度だが、頼りになるヤツである。



「………見て、坂吉君だ」

「また独り言言ってる」

「ねえ早く行こうよ」



確か、同じクラスだったであろう女子が、自分を避けるようにして走って行く。



あ、ちなみにれい子は俺の守護霊だから、普通の人には見えません。



とりあえず、このハンカチの持ち主に会わなきゃ助けようがないね。



俺はハンカチに誘導され、持ち主の子と接触した。



見た感じプラスのオーラの持ち主で、取り憑かれてもいない。



偶然、誘いアイテムを買ってしまったのだろう。



「じゃあ、……気を付けてね」



キミ、多分今日しぬから。



元気にお礼を言ってる彼女は、きっと言葉の意味には気付いていないだろう。



『弥生。彼女、危ないな』

「うん」



ちなみに、この着流しの美男子はれい斗。俺のもう一人の守護霊です。



ほんと、気を付けてね。



俺は、心の中で呟いた。