「……わー、無傷」
トラックに跳ねられた彼女は、無傷で気を失っていた。
『このアタシにかかれば、ざっとこんなもんよ!』
「そうだね。でも端から見たらもの凄い“奇跡”だね」
ぶつかったトラックも意外とデカかったし、文場さんがブッ飛んだ距離も相当である。
この状況で無傷は、ぶっちゃけ有り得ない。
うーん、あれこれ聞かれるのイヤだし、たまたま通りがかった通行人Aって事にしておこう。うん、そうしよう。
『弥生、せめて彼女のパンツ丸見えを直してあげなよ』
「え」
そういえば、制服は土で汚れてるし、スカートは捲れ上がってパンツが丸見えだ。れい斗は気が利くね。
「あ、ごめんごめん。じゃあ直しとくね。下着がピンクだなんて見てないからねー」
『見てるだろ』
それもそうか。
「じゃあ訂正。下着ピンクだったけど、気にしてないよ」
『弥生お前もう黙れ』
そんな会話は、彼女が呻いた事で終了した。