キキィーーーー、ドンッ!




彼女を遠目に見ていると、道路の真ん中でトラックに跳ねられた。



「………飛んだね」

『弥生、とりあえず救急車呼ぼうか』



俺はれい斗に促され、人がトラックに跳ねられたと連絡を入れていた時、





――――ブゥゥーン!!





あろうことか、トラックが走り去ってしまった。所謂、ひき逃げというやつだ。



「あ、逃げちゃった」

『いいのか?』

「うーん、一応ナンバーは覚えたよ」



人通りが少ないのか、俺以外の通行人がいない。



とにかく、彼女の所に行くか。れい子が守っているから、おそらく命に別状はないだろう。しかしトラックに跳ねられたとなれば、重傷ではあるだろう。



それに、



救急車に連れて行かれる前に、れい子の移動をしておきたいしね。



俺は、小走りで彼女に近付いた。