夏生は、俺の一言にびっくりする。 「翡翠は、中学時代の彼女。付き合った時は、普通の子だったんだ。でも人が離れていくのを拒む翡翠は、自傷行為に走った。俺は、そんなことにならないためにそばにいた」 「…」 「夏生のことを裏切って、夏生に大嫌いと言われたときは、本当に悲しかった。でも、俺のしたことはそのくらいのものなんだともわかった」 「あの時はとっさに…っ」 夏生が俺の手を掴む。 「あたしはあの時も、今も、日奈多が好き」 瞬間、俺の心臓が跳ねたのがわかった。