ゆびきりに願いを込めて

「いろいろ…」

怪訝な顔をして、考え込む。
声を掛けようかとも思ったが、何を言ってよいものか分からず立ち尽くすこと数分。
やっと彼女が口を開いてくれた。

「いつも迷惑かけてごめんなさいって、伝えてください」

迷惑だなんて、と言おうとして、言葉を呑み込んだ。
二人の間に今まで何があったのか、自分にはまだ分かっていなかったからだ。
どのような言葉を掛けたとて、それは上辺だけの取り繕いに過ぎない。
そしてこのような子たちは、そういうことに悟い。

「分かった。この後会議があってだな。すまん、後日また改めてちゃんと来る」