ゆびきりに願いを込めて

「すまん、諒というから男かと思ってた」

「……」

沈黙。
気分を害したかと思い、表情から感情を読もうと試みたが彼女は俯き、長い髪が顔を覆ってしまっていた。

気まずいから何か言ってくれ…そう思って数十分。

「真くんが私のこと話したんですか」

「真くん?」

随分親しい呼び方だ。歳はかなり離れているんだろうに。

「話したんですか」

呼び方に気を取られて問いに答えなかったからだろう。
彼女は繰り返し聞いてきた。

「ああ、ちょっと色々……」