ゆびきりに願いを込めて

月日を重ねても一向に良くならない
症状と数値に、少女は目に涙を溜める。

名を、荻野 諒という。

対して主治医である武田 真も彼女に対して気の利いた言葉もかけられず
何もしてやれない自分が不甲斐ないやら情けないやらで顔を歪めることになっていた。

この数値では、外出などさせられない。

彼女もそれを分かっているから、わがままも文句も口にはしない。

ただ、いつもこのように悲しそうな顔をして、自分が出て行った後には泣いている日があることも知っている。

彼女が入院してきてからもう半年が経過しようとしているが、
口が上手くなく、嘘もつけない真の性分では改善できるはずもない。
そんな日ばかりが続いているのが現状だ。

「今日も、また一人」

諒が呟く。

その言葉に真は閃いた気がした。

思えば、この何気ない一言こそが全てのはじまりだったのかもしれない。