少し遠くのソファに腰かけていた唯香が立ち上がり、香織たちのところへ来て、じっと修のことを見て、言った。


「雨だから、帰ってくることにした。来ないかなって思ったんだけど、もしかしたら来てるかもしれないから、もう一度行ってくる。」


「そっか。でも、もうすぐ日が暮れてしまうよ?」


「行く。」


「…わかったよ。ちゃんと、ここに、帰ってくるんだよ。」


唯香は、深くうなずくと、走って屋敷を出ていった。