*香紅夜side*
心夜は、初めて話したあとからよく私に話しかけてくれるようになった。
いつもなんでもないような会話を少しして帰って行く、そんな日々が続いていた。
ところが、ある日を境にぱったりと心夜は来なくなった。
理由はわかっていた。
後一週間で、人柱となる。そんな私に心夜は、『一緒に逃げよう。』と言ったのだ。そして、そのことが村長の耳に入ってしまったために、心夜は私が人柱になる儀式が成されるまで牢屋に入れられている。
(私を助けてくれようとしたばかりに...。)
涙が零れた。
あの日泣いて以来、二度と泣かないと誓ったのに。
あぁ、何年ぶりだろうか。
私の命は後わずか、生きたいと願うことすら叶わぬことなのだ。
叶わぬのなら、望まなければいい。
望んで、望んで、それが絶対に叶わないと知ったときに悲しいのは、自分だから。
自分が惨めになる。
哀れになる。
そんなのいやだから。
もぅ、人として生きることは辞めた。
辞めたはずだった。
なのに、彼が私の名を聞くから...
私に話しかけてくれたから...
もう一度気づいてしまった感情は、二度は封じ込めれない。
好き...好き、大好き。
気持ちが溢れる、ドンドン大きくなる。
だから、彼が私のせいで閉じ込められているのが辛い。
なにより、あえないことが辛くてたまらない。
あぁ、このまま、あの人に二度と会えないまま私は人柱となるのだろうか...
声は出なかった。
心夜は、初めて話したあとからよく私に話しかけてくれるようになった。
いつもなんでもないような会話を少しして帰って行く、そんな日々が続いていた。
ところが、ある日を境にぱったりと心夜は来なくなった。
理由はわかっていた。
後一週間で、人柱となる。そんな私に心夜は、『一緒に逃げよう。』と言ったのだ。そして、そのことが村長の耳に入ってしまったために、心夜は私が人柱になる儀式が成されるまで牢屋に入れられている。
(私を助けてくれようとしたばかりに...。)
涙が零れた。
あの日泣いて以来、二度と泣かないと誓ったのに。
あぁ、何年ぶりだろうか。
私の命は後わずか、生きたいと願うことすら叶わぬことなのだ。
叶わぬのなら、望まなければいい。
望んで、望んで、それが絶対に叶わないと知ったときに悲しいのは、自分だから。
自分が惨めになる。
哀れになる。
そんなのいやだから。
もぅ、人として生きることは辞めた。
辞めたはずだった。
なのに、彼が私の名を聞くから...
私に話しかけてくれたから...
もう一度気づいてしまった感情は、二度は封じ込めれない。
好き...好き、大好き。
気持ちが溢れる、ドンドン大きくなる。
だから、彼が私のせいで閉じ込められているのが辛い。
なにより、あえないことが辛くてたまらない。
あぁ、このまま、あの人に二度と会えないまま私は人柱となるのだろうか...
声は出なかった。



