“あ、いや、わたし” 急いでないからどうぞ、そう言うつもりだった。 でも途中で言葉が詰まった。ずっと見続けてきた人の顔が目の前に来たから。 飛び出た友だちを掴んだ彼は、友だちの腕も引き寄せて私の方を向いて 「すんません」 軽く頭を下げた。 私は、ドキドキてして顔が真っ赤になってくのが自分でもよくわかった。 そして、喉から声を絞り出して言った。