「えーと・・・そんなにほめてもらって、恐縮なんだけど・・・なんか、私のこと誤解してるかも・・・?」
ちょっと照れくさくなって、頭をかいた。
「誤解なんてしてません!!北島さん、最初会った時に、本当に優しくしてくれて・・・俺がもどした吐しゃ物・・・思いっきり服にかかったのに・・・怒らなくて・・・そればかりか、脱いだ服で・・・汚れついでだから、って俺の顔とか拭いてくれて・・・そのまま手際よく水洗いして、落ちたから大丈夫って・・・・タオルまでかしてくれて・・・・普通なら怒って当然なのに・・・すげぇ、優しくて格好いい人だって・・・。だから、俺もそう言うところ、見習いたいと思って・・・。」
そんな風に思ってくれてたんだ・・・。
照れくさかったけれど・・・嬉しかった。
ちゃんと、普通の私を見てくれてたなんて・・・。
「和田君、ありがと。そうだよね、和田君、飲み会の時、酔った後輩の面倒見てるよね・・・なんか、そう言ってもらってすごく嬉しい。ちょっと、このところ・・・自信喪失ぎみだったから、何か・・・今ので、元気出た。」
そう言うと、和田君は驚いた顔をした。
「えっ、北島さんでも、自信喪失・・・ってあるんですかっ!?」
「あるよー。見た目はこんなんでふてぶてしいけど・・・中は不安だらけな小心者だし?クールって見せかけて、単に諦めが早いだけだし?」
つい、本音じみたことを言うと、和田君は目を見開いた・・・。
そして、何か言おうと口を開きかけたが。
その時。
「ああー、やっと見つけた!北島まりあさん!ちょっと、お話きいてもらえますか?」
私達のところへ、強引に話しかけてきたのは・・・先日ジローの所へ取材に来た、高楼出版社の、片岡さんだった。

