やっぱり、無理。






「ま、まりあぁぁ・・・。」




泣きそうになる昌を見て、しまったと思い。





「あ、でも。昌は・・・友達だよ。わかる?友達なんかいなかった私の、友達。それじゃダメ?」





そう言うと、昌は恨めしそうに私を見た。





「はあ・・・それ言われたら、もうこれ以上ゴネらんないじゃないか・・・。」





私は、しょぼくれた昌の頭をポンポン、と叩くと。





「ごめんね?でも、私・・・昌がいてくれるから、学校楽しいんだよ?学校が楽しいなんて、今まで感じたことなかったけど・・・昌のおかげだよ。」





素直な気持ちでそういうと、昌はため息をついた。


そして、私の頭を、ポンポンと、撫でるように叩き返すと。






「しょうがねぇなぁ・・・ったく。で?その人知り合いなのか?」





と、私の後ろの人を覗き込んだ。


私が頷くと、昌はなんとなく察してくれたようで。





「わかった・・・まあ、今日は・・・俺がまりあの特別だってこと聞いただけでいいや。ケーキはまた今度な?」





そういって、昌は手を上げて去って行った。





「いい、お友達ね?彼の片思いっていうところが、切ないけれど。ふふっ、絶妙なバランスだわー。」





クスクス笑う彼女の目じりには小じわが見て取れて。


いつも化粧っけのない可愛い顔が間近でみると、思っていたよりも年上なんだと意外なことに気が付いた。



で、もっと意外だったのは。


タミちゃんの彼女の印象だ。


まず、化粧っけのないナチュラルな可愛らしいイメージは・・・ものすっごく、ゴツい超高級外車を彼女が運転していたことで、完全に覆されたことだ。


しかも、その運転の仕方が何というか・・・どうも、荒い?・・・っていうか、大胆っていうか・・・・ああっ、ぶっちゃけ、昔ちょっとヤンチャだったのでは・・・という感じの運転で、今までのイメージは見事崩れ去った。


その上、ずっと不安に思っていた自分の恋人の血がつながっていない戸籍上だけの子供に対するマイナスな気持ちだと思っていたことが、全くの逆で。


何故か彼女と喋ったこともない私に対して、かなりの好意をもって接してくれているこの状況・・・。




「ごめんねー、突然で。でも、私明日からツアーで・・・話すなら今日しかなくてね?あ、落ち着いて話したいから、ちょっとつくまで待ってねー。」




と、その小柄な体型には大きすぎる超高級外車を、余裕で運転する・・・いや、片手でだるそうに運転する姿を唖然と見る私に。


歌うように、楽しげに彼女はそう言った。