やっぱり、無理。





「北島さんっ、好きですっ!俺と付き合って下さいっ!!」



厄介事が、また増えた・・・。


私の腕を掴んだのは鼻息荒い昌じゃなくて、同じ学部で1年後輩の・・・思いつめたような熱い瞳の和田君。



入学したころ、前日の新歓コンパで飲み過ぎた彼は。


2日酔いで気分が悪くなり、廊下でしゃがみこんでいたところに、私が声をかけたのが知り合ったきっかけだった。


てゆうか、シャツに思いっきりリバースされたんだけど。


まあ、わざとじゃないし。


下にTシャツを着ていたし、シャツを水道でゆすぐついでにタオルを水でしぼって、貸してあげた。


たったそれだけの事。


その時本当に大変そうだったから、少しお節介をした程度なのに。


何故か、それから妙に懐かれて。


ゼミも一緒。


まあ、いいコなんだけどね・・・。


だけど。



「無理。」



一言告げて。


答えたタイミングが即答だったせいか、一瞬ポカンとした和田君の腕をふりほどき私は歩き出した。


私の腕から手が外された和田君に、昌がすぐさま掴みかかるのが目の端にうつった。



ああっ。


面倒くさい。




その他大勢、歩くたびにいろんな知り合いの男子が、告白をしてくる。


だけど。


その、半分は――




「無理。」


「むーり。」


「ムリ。」


「無理だって。」


「無理ーーーー。」


「だからっ、無理だって言ってるでしょっ!!」



かけられる声に、無理と言い続ける。


しまいには、キレて。



私は、走り出した。





もう今日は、無理だ。


そう思って、校門へ向かう。



だけど。




「まりあ。」



突然現れたジローが私の腕を掴んだ。