初めて、というのに。


ジローの行為に容赦はなくて。


痛みを訴える私に。





「あ?痛ぇだと?初めてだろ、当たり前だ。お前、痛くなきゃ、俺キレてるぞ!?」





と、訳の分からないことを言われ。


でも、しばらくして痛みよりも、違う感覚に支配されるようになった私に。





「ようやく、痛くなくなったか。じゃぁ、これからたっぷり俺仕様に、仕込んでやっからなぁ?」





と、上機嫌でそう言うと。


到底正気では考えられない恥ずかしいことを、次々と仕掛けてきた。


それで、最初の行為は容赦がないとおもったけれど。


あれでも、ジローなりに手加減をしてくれていたんだと、悟った。






初めて体験した日だというのに何度も激しく求められ、私はいつの間にか、気を失っていたようで。






目が覚めた時は、翌日の夕方だった。



そして、何故か私の制服や学校で使うもの、そして着替えや当分の生活ができる荷物がはいったスーツケースがジローの部屋にあった。


私が寝ている間にジローが家へ連絡し、ママが来たそうで。




「お前の気持ちもある。冷静になって考えるのもいいだろ・・・もうすぐ、夏休みだしな?夏休みの間、ここにいて俺の仕事手伝え。これでも、結構忙しいんだ。」




いつの間にか私を預かると話をつけてくれていたようで、嬉しかったのだけれど。


でも、何か最後の忙しいって言葉にムカついて。




「そんなに、忙しいんだったら。私の家庭教師、毎日来なければよかったでしょ?」




可愛くない、そう思いながらも、口が尖ってしまった。


だけど、ジローは、そんな私を見て、クッ、と笑った。





「ククッ・・・何拗ねてやがる?・・・あのなぁ、俺だぞ?行く気がなけりゃ、毎日いくわけねぇだろ。それに、だ。俺、悪ぃけど、お前の家庭教師、最初の1ヶ月で、辞めてっから。」


「はっ?」





驚く私に、ジローがニヤリと嗤った。





「『理由』は、昨日教えただろ?・・・だから、家庭教師辞めた。そこらへんも、ちゃんと薫さんとママさんにはきっちり話してある。お前と一緒にいたいから、毎日お前んちに通ってたんだ。んで、金もらうなんて、筋ちがうだろ?勉強教えてたのはついでだ。」





そう言って驚く私に、ジローはねっとりと厭らしいキスをしてきた。



大人の、私には到底手におえない男で、無理だと思って。



距離をとっていたのに・・・。






気が付けば・・・私とジローの距離は、なくなっていたのだった―――