「ハル! 起きて!着替えて!」
部屋の扉を勢いよく開けて、そこには息を切らした彼女の姿。
「な、なんで来るんだよっ!」
部屋はきれいか、
頭は爆発していないか。
涙は……残っていないか。
一瞬の内に考えなければいけないことがあり過ぎて、僕は想像もできないくらい動揺していた。
そんな僕にお構い無しで、相変わらず彼女は僕の顔を笑顔で覗き込んだ。
「今日真寿に呼び出されてるの。昨日買ったプレゼントも渡したいし、一緒に付いて来てよ」
出た。
お得意のわがままだ。
「バカか。なんで二人のデートについて行かなくちゃいけないんだよ」
「だって、なんか真寿の様子違う気がするんだもん。一人で行くの怖い」
「甘えんな」
負けない。
負けないぞ自分に。
僕は布団に潜り込んで、彼女に背を向けた。
どんな顔してるか気にしながら、じっと彼女の反応を待っていた。

