窓に型取られた空間を、朝の風に乗せていくつもの枯れ葉が通り過ぎる。

振動を伝える携帯の音に、起き上がる力も出ないのは熱のせいばかりじゃないのかもしれない。



棚を滑り落ちた携帯が、肝の小さい僕に喝を入れた。



「どうして寝てるの! 起きて!」



頭に響く彼女の声。



わがままを聞くのは今日で最後にしよう。

そう決めたら、バカみたいだけど涙が出た。



「土曜くらい寝てたっていいだろ」



冷たく言ってみる。

構って欲しい気持ちは、なかなか消えない。



「だめ! 絶対だめ!」



そう言って切られた携帯に、笑顔の君がいた。

そのまま僕は、ディスプレイの設定画面に親指を運ぶ。



明日からは冴えないカレンダーが、毎朝僕を迎えるだろう。