あれは、秋。
この時期には珍しく転校生が来た。
その転校生こそが君だったね。
少しずつ話していって、仲良くなって…
いつしか僕は君に惹かれていた。
でも、気持ちに気付くのはもっと先。

「これってどうやって解くの?」

君はよく僕にそう聞いてた。
わからないとこがあるとすぐに聞いて、理解して解いていった。

「ありがとう」

教えた後の君の笑顔が見たくて、
理解してもらえるように頑張ったんだ。

君に惹かれたのは当然僕だけではなかった。
同じクラスの男子、先輩、後輩、他校の男子。
多くの人が君に気持ちを伝えただろう。
でも、僕は僕自身の気持ちさえ気付けずに気持ちを伝えるなんてできなかった。

もし、君が諦めて他の男子と付き合っていたらどうなってただろうか。
未来は変わってただろうか。
僕たちが付き合うことはなかったのだろうか。
考えたくもないけど、それでも考えてしまう。
その度に君は僕にこう言ったね。

「もし、私達が今付き合えてなくても、お互いが想っていれば必ず出会ってたし付き合ってた。
産まれて、私と出会って話してくれて…こうやって付き合ってくれて、本当にありがとう」

と。