「…………た、高橋先輩っ……」
「……葵ちゃん…………。」
「き、今日は……お話があって……」
「優人のことだよね?」
「は、はい…………。」
「………………。」
言わなきゃ。
ちゃんと
ホントの気持ちを。
「私……下田先輩が好きです。」
本人に伝えるわけじゃないのに
言葉にするのが初めてですごく緊張する。
「……そっか。」
静かに高橋先輩は頷いて私をじっと見た。
「それならいいけどね。」
「えっ??」
思っても見なかった返しに思わず驚いてしまう。
「いや、俺は本気じゃないなら近づくのはやめてって言っただけだし(笑)」
「ふぇ???」
「だーかーら!葵ちゃんが本気なら優人のことよろしくって意味!優人に好きになってもらえるとイイね。」
「は、はぁ……。」
良く分からないけど高橋先輩はそう言って走って消えていってしまった。
これは…予想外の展開…。
驚いている心を落ち着かせながら帰り道を歩いていると
後ろに気配を感じる。
「っ、葵っ!!」
その声に自然と身体が振り向く。
「下田…先輩…」
走ってきたのか先輩は髪を乱していた。
「部活見に来てたから驚いた…」
「…お、お疲れ様です…」
「…真志と何で一緒にいたの?」
「えっ…いゃ…その…」
「俺には言えないこと?」
…まさか下田先輩の話をしてたなんて言えないし…。
「…く、クリームパン!」
「は??クリームパン??」
「そ、そーです!クリームパン!三年生はクリームパンを買ってる人が多くて、何でそんなにゲット出来るのかを聞いてました!」
はい、きた。
我ながら下手すぎるウソ…。
下田先輩はじっと私の顔を見ている。
そりゃ、ウソだってバレるよね…。
「ふぅーん。そんなことか…それなら俺に聞けよ!俺の方があいつより脚速いし、クリームパン愛も負けねぇし!」
「えっ…?」
ニコッと笑って先輩は私の横を歩く。
何事もなかったかのように振舞ってくれてる。
「葵にはもっと俺を頼って欲しいんだけど?」
どきりとするセリフ。
思わず顔が赤くなる。

