誰かの声がする。
泣いているのか、笑っているのか。
どこか懐かしさを感じさせるその声は
僕をこの場に縛り付けているようで。

頭では解っているんだ、この声が何なのか。
だんだんと近付いてくる声に僕が感じているのは、恐怖か、それとも…。


朦朧とした意識の中、やけにはっきりと聞こえた。

「物語は始まったばかりだよ」

その瞬間、黒い影が僕を飲み込んだ。