「いってきまーす!」
そう言って玄関のドアを開けた。
外に出た。
うしろの方でドアの閉まるパタンッて音が聞こえる。
私は学校に向けて歩き始める。
私の家は学校から15分のところにある。
そのため自転車ではなく徒歩通学。
時々走って行ったりもする。
だから体力も少しずつ付くし、タイムもみんなより縮まるんだと思う。
ちょっとだけ優越感。
今日は天気もいいし、ついでに気分もいいし。
走ろう。
そう思って地面を思い切りけり飛ぶように走り出した。
一歩を踏み出す度、通学路の景色がヒュンヒュンって過ぎて行く。
風でスカートがなびく。髪がなびく。
春の涼しい風が私の頬を優しく撫でる。
あー気持ちいい。
桜の花弁が、ひらひら舞っている。
不意に上を見てみた。
青い空。白い雲。
桜のピンクがちらほらと見える。
あー、春だ。
私たちの高校時代の最後の春。
今年こそは、インターハイ優勝。
絶対叶えて見せるよ。
_____お母さん。
_____春の日の晴天。
澄んだ青に、涼しげな風。
約束しよう。
この景色。
この約束。
絶対忘れない_______。
