「あー疲れたぁ!!!」


ーボフンー


私はソファにダイブする


「まったく…お子様ね…」


エリさんが呆れる


でも、あれだけの戦闘は初めてだった…


正直疲れた…


「あ…エリさんでしたっけ?何か飲みます?」


レンジがお茶か何かを淹れようとする


「いえ、結構よ…まぁ夜も更けてたしこれからの事を簡潔に話すわ…ほら、起きなさいナナ」


「あ…うん」


「後1週間、何が何でもレンジ君を死神として覚醒させなければならないわ」


レンジを覚醒…


しかしそんなの出来るのだろうか


「なんでも良いから試してみなさい…あなた達が思い付く事を」


「いや…それは分かるけどヒント的なものすらないのは…」


レンジも困り果てる


「まぁさっきも言った様に私の同僚にも調べる様に頼んでるからね…もうしばらくしたら答えが返ってくるわ」


「はぁ…」


「でもさ…死神のコイツって超ナンパなヤツなんでしょ?」


「何?今から嫉妬してんのかしら?」


「いや…その…だって…」


そりゃ嫉妬というか…心配はしちゃうよ…


「まぁレンジ君が覚醒しなかろうと、心があなたから離れれば同じよ?」


なんか…不吉な事を言うエリさん


「まぁ良いわ…話は終わり…今日はそうね…ナナのベッド借りようかしら?」


「え?じゃ私はどこで寝るのよ?」


「あなたはレンジ君と一緒に寝れば良いじゃない?晴れて恋人になったんだし」


「い…いや!まだ数時間しか経ってないのに…」


「ホホホ♪レンジ君?ナナをメチャクチャにしておやりなさいな♪んじゃおやすみー」


勝手に二階に上がって私の部屋に入ってしまうエリさん


「あ…ま…まぁ…遅いし…寝る?」


「あ…うん…今日は遅いしシャワーは明日でいっか…」


一応、お互いパジャマに着替える


そして…


「い…嫌なら僕ソファで寝ようか?」


「いや…!ソファなんかで寝たら風邪ひいちゃうよ…」


「うん…」


「んじゃ…おじゃまします…」


私はレンジのベッドに入る


や…ヤバい!


男の子と寝るってこんなに緊張すんの!?


狭いレンジのベッドに2人で布団をかぶる


なんだか気まずいのでお互い反対に向いて背中と背中をくっつける


やっばい!


めっちゃ体温感じる!




「ね…ナナちゃん」


レンジが私を呼ぶ


「え…な、何?」


「僕の事、本当に殺すつもりだったの?」


「え…あ…うん…」


「……」


無言のレンジ


なんだか…怒ってるみたいな感じ…


「あ…えと…怒って…る?」




「……うん」


!!!


や…ヤバい…


せっかく恋人になったのに…


「怒らないわけないでしょ?」


背中越しに、少しだけ低いレンジの声が聞こえる…


「あ……えと…ゴメン…」




「僕のチャーシュー返せ」


「ゴメ…は?」


「チャーシューの恨みは怖いよ?」


「チャ…?チャーシュー?」


「なんて…冗談だよ♪フフ♪」


「じょ…?」


優しく笑うレンジ


そしてレンジは静かな声で続ける


「僕さ……ナナちゃんの事好きだった」


「あ…えと…うん…」


「自分の好きな人に、殺されちゃう位好かれてたなんてさ……嬉しいよ」


レンジ…


「ホントに…?」


「うん…!ホントだよ」


「ほ、ホントに怒ってない?」


「うん、チャーシューの件は怒ってるけど♪」


「チャーシュー…フフ♪ゴメン…美味しかった♪」


「今度は1枚、僕にちょーだいね?」


「…うん!」


良かった…怒ってない…!


「ね…ナナちゃん?」


「え…何?」


「ナナちゃんは…どうして僕の事好きになったの?」


「え…?」


そうだ…


なんで私はレンジを好きになったんだろう…?


もう…覚えてないくらい昔の話…


「僕はさ、小さい時にナナちゃんが一緒にマフラーを巻いてくれた時なんだ」


「あー…あったわね…アンタ珍しく風邪ひいたのよね?」


「うん」


そうだ…レンジが大風邪ひいて寒そうだったから私の長いマフラーを一緒に巻いたんだ


「その時だったの?私を好きになったの?」


「うん…でもその前から好きだったと思う…マフラーの件で好きな気持ちに気付いたって感じかな?」


そんな事あったんだ…


明かりを消したレンジの部屋


私達はベッドの中で会話する


「どんな気持ちだった?」



「痛かった…」


「痛い?」


「胸がドキドキして…痛かったんだ」


背中越し


レンジが喋る度に背中から緩やかな振動を感じる


「そっか…私にドキドキしてたんだね♪」


「うん…さ、今度はナナちゃんだよ?」


「え?私…?いや…私は…」




私は……