「カルマ…闘いの神なんて言われてるだけあってその戦闘力はケタ違いの死神よ」


エリさんはカルマについて説明を始める


「ケタ違いって言われても…想像つかないよ…だって…コレでしょ?」


私はレンジを指差す


「コレってヒドくない?僕、一応ナナちゃんの彼氏なんだけど?」


「だって、虫も殺せない様なナリじゃん」


「あ…あのね…僕の事好きだったんでしょ?」


「まぁまぁ…痴話喧嘩が後にして…カルマは戦闘力もさることながら、極めて異例の存在だったわ」


異例…?


「死神ってのは女の子が多いでしょ?」


「あ…確かに…」


確かに死神ってのは女の子が多い…まれに男性もいるけど…


「男の死神ってのは女の子の死神より弱いのが一般的なの…だけどカルマは違う」


「闘いの神、と言われるからね…」


ヒトミさんが補足する


「そう…そして過去にその戦闘力の強さが分かる事件も起こしてるわ」


「事件?」


「はるか昔…死者の世界を1度、破壊しかけてるわ…たった1人でね」


「ひ…1人で?つか、なんでよ!?死神なら仲間でしょ!」


「カルマはテラーや委員会の様な組織には属してはいなかったのよ」


いや、属してないとは言っても…


「目的はわからないけどね…1度死者の世界は本当に壊滅しかけたのよ」


「そのカルマを保持すれば…テラーは委員会さえ牛耳れる…アドバンテージを保つためか?」


「まさにそう」


「いや…良く分かんないけど…アンタって危険なヤツなのね?」


「いや…生まれる前でしょ?分かんないよ僕には…」


「ま、何故破壊なんて行為をしたのかはわからないけど…カルマってのは…こう…気分屋さんかしらね?」


「き…気分屋て…気分で破壊したの?」


「そ、気分…だと思うわ…まぁでも…もう1つカルマについては異名があるわ」


「異名?」


「愛の死神」


「うわ!何それ!ダッサ♪」


「…なんで僕を見るの?」


愛の死神って…


ダサいわ…♪


しかし、エリさんからはとんでもない事が知らされる


「いや、男性の死神で強いし、男前…そりゃちょーモテまくりだったのよ…あなたの言う、コレがね」


「すみません、そろそろコレってやめてくれます?地味に傷つくんですけど?」


レンジが不服そうだ


「マジで…モテまくりって…?」


「えぇ…そりゃもう、とっかえひっかえズッコンバッコン♪」


「ズッコン…ちょっと!ふざけんじゃないわよ!!ゴルァ!!」


「だ…だから生まれる前の話じゃんよ!胸ぐら掴まないでよ!」


「テクニックも凄かったわ…♪」


「………え、エリさん?もしかして…そのカルマってのと…」


「うん、寝た」


「レンジィィィ!!」


「だから!今の僕じゃないって!」


コイツの前世って…ちょーナンパなヤツなのね…


というか…気になる事がある


「エリさんって…どのくらい前から死神なの?」


その問いにエリさんは答える


「ずっと昔…いちいち年数数えてらんないわ」


ずっと昔…


どれくらい前なんだろう…


「つまりだ…エリ…お前のこの先の目的は…何だ?」



エリさんは一呼吸おく







「テラー、委員会の2つの組織を…破壊するのよ」


「は…はあ!?破壊って…どうやって…!?てかなんでよ!」


「さっき言った様に、テラーと委員会は坂崎レンジ君を使って歴史を改ざん…多数の死人を出そうとしてる…」


「あ…うん…」


「確かに、テラーは悪人に対しては強制執行はしてきたけど…人類を強制的に終焉させるなんてのは許されないわ…だからよ」


そうか…エリさんはそれが目的だったんだな…


しかし、破壊なんて…そんな事…出来るの?


その疑問に答える様にエリさんは続ける


「テラー、委員会はあるシステムに頼って組織を運営してるの…それを破壊すれば勝機は見えるわ」


「システム?コンピューターなの?」


「いえ……なんて言ったら良いのかしら…私も実際はお目にかかった事はないしね」


「いや…分かんない相手を破壊すんの?」


「ふむ、じゃあ有機物、で良いかしら?」


「は?ユーキブツ?」


「お姉さん…アバウト過ぎますよ…ナナちゃん分かってないし…」


「そうね…ナナは理科とか化学の話は無理か」


ぬ…ぬぅ…


絶対にバカにされてるわ





しかし、エリさんからはその相手の名前を聞かされる…