レンジ君の家の前


明かりは点いてない


寝てるのかな…?


私は試しにインターホンを押す


ーピンポーンー


軽快なリズムが屋内から聞こえる


……


応答が無い


ーピンポーンー


再度押す


そして、もちろん応答は無い


ーピンポーンー


ーピンポーンー



ーピンポーピンポーピポピポピポピポピポピポピポピポピポピポピポピポピポピポピポピポピポピポピポピポピポピポピポピポピポピポピポピポピポピポピポピポピポピポピポピポピポピポピポー


私はインターホンを連打する


居ないと分かってるのに


「…君…何をしてるんだ!止めないか!イタズラしてるのか!?」


私の後ろから不意に声が掛かる


ジャージ姿で犬の…チワワのリードを持つおじさんが私の行動を注意してくる


「…だって、出てこないんだもん」


「出てこないって…明かりも点いてないんだから坂崎さんは不在だろう?そのくらい分かるだろ…」


レンジ君の近所のおじさんか…


誰かは知らないけど


しかし、知らないおじさんに説教されるいわれはない


「うるさいわね!!!!邪魔するとそのクソ犬をバラバラにするわよ!!」


私はありったけの声、そして死神の覇気をぶちまける


「キューン……」


チワワが覇気を悟ったのか、尻尾を下に丸めご主人の足元にへばりつく


「………行こう…クッキー」


おじさんはチワワを抱いて足早に立ち去る


クッキー


犬に食い物みたいな名前付けやがって


さて…いないとなれば更に探すしかない


……どこにいるのかしら?


ま、簡単に見つかったらつまらない事この上無い


まだ、夜の時間はたっぷりとあるわ♪


私は再び歩き出す


あぁ…笑いは止まったものの、ヨダレがとまらないわ…


さすがにヨダレを垂らしたままで歩くのは女の子として恥じらいがあるわ


私はレンジ君の家の近くの公園に立ち寄る


そして、公衆トイレに入る


そして私は洗面所で顔を洗う


「ふう…」


ハンカチで顔を拭き、鏡を見る


あぁ、どおりでヨダレが止まらないはずだ


笑いは止まったものの、顔がヒドくにやけている


口元は上に引きつっている


自分でもひきつった笑顔だって分かる


……まぁ良いや


私は公衆トイレから出る


……しかしこの公園、明かりが少な…


ん?


少ない明かりだが、ベンチに座る、2つの影が目に入る


…カップルか


……


いや…


私はなんと幸運なんだろう




あれは…


ナナちゃんとレンジ君


見つけたわ…


見つケタ


ケヒャヒャ♪


おーおー…


仲良くピッタンコにくっついて座って…


オマケに手まで繋いで


「キッシッシッシ♪」


私はまた笑いが止まらなくなる


…引き裂いてやるわ…


その手も…


身体も…



魂も!!!