もう、辺りは真っ暗


夏祭り以外はひっそりとしてる神社


児童公園もあるけどこの時間じゃ誰もいない


僕は辺りを見回す


しかし、ナナちゃんらしい人影は全くない


「くそ……入れ違いだったのかな…?」


それにしても疲れた…


僕はブランコに座り足を休める


!!!


暖かい…?


ついさっきまで人が座ってた証拠だ…



ナナちゃんなのか…?


しかし、辺りには誰もいない




僕はまた、歩き出す




神社の裏に


この神社は高台にある


こじんまりとしたベンチがあり、そこからは街が一望出来る場所だ


確か…ここでナナちゃんに指輪をはめたんだよな


ベンチに腰掛ける


「あ痛…!」


座った瞬間、お尻に何か当たる


「なんだ…?」


それを拾う


キラリと光る、それは指輪


……!!


な…!!


こ…これは…!




ナナちゃんにあげた指輪!!


そして、そばには小さな可愛らしい封筒


封筒を急いで開ける


手紙は…短い文章だった


ーここに来てくれると思ってました。

短い間だったけど、一緒に暮らせて楽しかったです。



それと…ずっと、好きでした。


私は死者の世界に帰ります。

お幸せにー

ナナより





僕は膝から崩れ落ちる




そんな…



死者の世界って…


帰るって…



う…嘘だ!!


嫌だ!!


こんな…こんな別れ方って…あるか!!


「イヤだ!!出てきてよ!!ナナちゃん!!お願いだよ!!!」


僕はありったけの力を振り絞り叫ぶ


「僕が好きなのはナナちゃんなんだ!!マイコちゃんじゃない!!ナナちゃんなんだ!!小さい時からずっと好きだったんだ!!それなのに…!!それなのに…こんなの…無いよ…!!」


段々と、自分の声が涙声になっていくのが分かる


「…こんなのって…無いよ…グッ…うぐ…!…まだ気持ちを言ってないんだよ!!お願いだよ!出てきてよ!!」


僕は、誰もいない神社で喚き散らす


でも、帰ってくるのは静寂


………本当に…




帰ってしまったのか…





僕は、ナナちゃんの指輪を握りしめ、空を見上げる…


冬の空は澄んでいて、星がすごくきれだった…