「ん…!!」



唇が…!!


唇が!!


紅茶に入れていたであろう薬のせいで、体がフラフラだった


だけど、僕はなんとかマイコちゃんの唇を避ける


避けたマイコちゃんの唇が頬に当たる


「どうして避けるの?」


避けるに決まってる…!


「あぁ…最初はホッペが良いのかな?フフ♪」


ま…まるで堪えてない…


な…何なんだ!?


「私はね…もう覚悟は出来てるの…だから…レンジ君も我慢しなくても良いんだよ?」


「く…う…!!」


「私は…レンジ君の彼女……だから好きにして良いんだよ?」






「う…うぁあああ!!」


ードシンー


僕はマイコちゃんをベッドに突き飛ばす


「……♪」


マイコちゃんは艶かしい視線を僕に送る


「…やっと…♪」


何だか笑顔になるマイコちゃん


だけど僕は…





「ふ…ふざけんな!!」


「……!!」


僕の声にマイコちゃんが固まる


「こんなの…こんなのあるか!!僕は…僕は…!!」


「れ…レンジ君…?」


「僕は…人が良い性格をどっかで満足してた…」


「わ…私も人の良いレンジ君が…」


「僕が喋ってるんだ!!…黙れよ!!!」


フラフラだけど、僕は渾身の力で怒鳴る


「ひ…!!」


「こんな事されてまで…僕が人に流されるなんて…そんな風に思うなよ!!」


「れ…レンジ…君…?」



「僕が好きなのは……」


「レンジ君!!」


マイコちゃんが抱きつこうとする


だけど、僕はマイコちゃんを突き飛ばす




「ナナちゃんなんだ!!君じゃない!」


「う…れ…レンジ…君…」


「好きじゃない人とキスしたり、体の関係なんて持てない!!」


「だって…レンジ君…頷いた…」


「頷いた!!でも、キスしたり体の関係を持つなんてのは聞いてないし、するつもりもないんだよ!!」


「…そ…そんな…」


女の子が上半身下着姿で迫ってくる


余程の覚悟が無いと出来ない行為


それを突き返す僕は…最低かもしれない


でも、でも!!


ナナちゃんをこのままにしてたらもっと最低だ…!!


「僕は、ナナちゃんが好きなんだ…!!ちっちゃい時からずっと…!!その想いをで今更変えるなんて無理なんだ!!」


「う…く…!!」


マイコちゃんの瞳に涙が溢れる


「……僕を好きになってくれたのは正直うれしい…でも、僕はナナちゃんが好きなんだ!大好きなんだ!!」


「……も、もう…良い…!!」


俯き震えるマイコちゃん


ブルブルと肩を震わせている


それを背に、僕は部屋のドアに手を掛ける





「……さよなら」


僕はマイコちゃんの部屋から出る



……これで良かったのか…


分からない


でも…今はナナちゃんの元に行かないと…!