「……」


トボトボと歩く私


やっと自分の街に帰ってきた…


辺りはもう夜になろうとしてる


でも、家に帰るわけにいかない


そのままフラつく私


女子高生が彼氏と手を繋いで歩いてる


…うらやましい…


もっと…もっと早くにレンジの想いに気付いてたなら…


今頃はあーやって手を繋いでたのかな…



暫くあてもなく歩くと…


「……!」


いつの間にか、私は神社の児童公園にいた


レンジが私に指輪をはめてくれた神社


夏のお祭り以外はヒッソリとしてる


私は歩き疲れた足を休めるため、ブランコに座る


……


帰ろう…


死者の世界に


そもそも、レンジを私の彼氏にした上で、魂を狩るのが私の目的であり、命令


それを果たせない私はお役御免のはず…




……大体、私は身勝手過ぎたんだ


いくらレンジを好きとは言え、何も悪い事をしていないレンジを殺害しに来たんだから…




「何をションボリしてるのよ?」


「!!」


俯きながらブランコに座る私の目の前に立つ人


エリさんだった


エリさんは隣のブランコに座る


「で…今日で一週間…考えは決まったかしら?」


そうか…レンジを殺害するか否か…


一週間の猶予を与えられていたんだ


「………はい…」


「ふむ…答えは?」


私は答える




「……レンジは…殺しません…それが答えです」


「……そう…」


秋の夜の冷たい風が私達の体を突き刺す


「……私、死者の世界に帰ります…」


「………」


「転生させて下さい…」



「…それで良いの?」


「はい……出来れば、レンジのいない場所で…」


すると、エリさんは私に近寄り、しゃがみこみ私を覗くエリさん


「…どうして?」


「…私は…勝手過ぎた…何も悪い事をしてないレンジを殺害なんて…」


「…でも、それじゃインフルエンザの脅威から世界を守れないわ?」


「…それはそうだけど…でも…それも違う…」


「…ふむ…何故かしら?」


エリさんは立ち上がる


「レンジは悪い事をしてない…だから、レンジがインフルエンザにならない方法を見つけるべきだったと思う…」


「そう……でも、レンジのいない場所で転生なんてどうしてかしら?」


「……今でもレンジが好き…でも…レンジには彼女が出来た…そんの見たくないです…」


「…彼女か…あのボウヤにね…」


「れ…レンジは…だ…抱き合ってた…うぐ!…グス…!」


あの光景を思い出すと涙が溢れてしまう


エリさんは黙って私を見る


そしてエリさんは私の頭をワシャワシャと撫でてくれる


「……そっか…よっぽど悔しくて、悲しかったのね…でも、本当に転生するの?」


私は……




返事をする




「…はい…」




また、冷たい風が私の体を突き抜ける



そして、エリさんはゆっくりと口を開く







「…分かったわ…現時点をもって、あなたはハンターの役職を罷免します」