「ただいま」


ナナちゃんが帰ってきた


…?


おでこが赤い…


「おでこどうしたの?」


「ん…あぁ…デコピ…えっと…頭ぶつけたのよ」


「え?大丈夫なの?」


「あーうん…大丈夫大丈夫…それよりさ…」


「ん?何?」


ナナちゃんはイスに腰掛ける


「アンタ…今…死んだらさ…どうする?」


「へ?死ぬ?誰が?」


「…アンタ…レンジよ」


「僕が…死ぬ?」


何を唐突に…


「どうなの?」


唐突な質問


でも、ナナちゃんは真面目な顔だ


だったら…


僕も真面目に答えなきゃ…




「うーん…僕は…死ぬ訳にはいかないよ」


「…そ、そうよね…お父さんいるしね」


「父さんだけじゃないよ?」


「え?」


「周りの人達はもちろんだけどさ、母さんの事もあるからね」


「…お母さん…」


「母さんは病気で死んじゃったからさ…その分僕が生きなきゃって…そういう…使命感はあるかな?」


「使命感…」


ナナちゃんは小さく呟く


そして、ナナちゃんはまた質問をしてくる


「ね…もしも…もしもさ…悪いヤツから世界を救う為に、アンタの命を差し出せば救える…そんな状況だったらどうする?」


「…?え?何それ?」


なんだそれ?


なんかのゲームのお話みたいだな


「えと…生贄みたいな感じ?」


「うーん…まぁそれでも良いわ」


何だろ?


おかしな質問だな…


「しかもさ、例えばアンタに好意を寄せてる女の子からのお願いだったら?」


おかしな質問


だけどやけに真面目なナナちゃん




少し考えた後、僕は1つの答えを出す


「……そういったストーリーって決まってない?」


「え?」


「立ち向かわない?こうさ…運命は自分で切り開くんだ〜ってさ」


立ち向かう


簡単な事ではないけど…


そうなんじゃないかな?


「立ち向かう……」


ナナちゃんは考え込む


「アンタに…好意を寄せてる女の子からのお願いでも?」


「いや、普通さ、その女の子から言わない?私と一緒に戦おう、とかさ」



「……」


「ナナちゃん?」


「そうよね…うん…」


何か、決意をした表情のナナちゃん


「つかゴメンね!変な質問しちゃってさ!」


「いや…別に構わないけど…」


「とにかく、ご飯食べましょー!」


そして僕らは夕飯を食べる


「ねぇねぇ」


「うん?何?今度は魔王の倒し方?」


「いや、そうじゃねーっつーの!」


ナナちゃんがお箸で僕の手を刺す


「痛いって…」


「アンタさ…す、好きな女子とかいないの?」


「いや…とか、って…別の生命体も含まれてるの?」


「いや、もしかしたら男子が好きかもしんないじゃん」


「僕はゲイじゃないよ?」


何を言ってるんだ…まったく…


でも、いきなり僕の好きな人の事を聞くなんて…


「いないの?」


ジッと僕を見つめるナナちゃん


確かにいるさ



目の前に…


そして、僕は答える





「……いるよ」


僕は正直に答えてみる


「!!!」


ナナちゃんの目が大きくなる


「へ…へぇ…アンタもいるんだ…」


「お、おかしい?ナナちゃんだっているんでしょ?」


「ま、まぁね」


なんか…ナナちゃんがソワソワしだした…


「そ…そうね…アンタはその女の子は脈アリなの?」


「い…いや…良くわかんない…」


目の前にいるんだけどな…


「そ…そう!私もビミョーなのよねぇ…その男子も好きな人いるらしくってさ」


「ふ…ふーん…」


ナナちゃんが好きな人…


どんな人なんだろう


「ね、ねぇ!こうしない?」


「何が?」


「アンタが振られたら私が彼女になったげるわ!」


「え?何それ?」


「な…慰めよ!!それに私だって分かんないしね!」


「何それ?なんでナナちゃんが上から目線なの?」


「だって、私はアイドル級の可愛さだし!そんな私と付き合えるわけよ?」


「可愛い人は自分を可愛いなんて言わないよ?」


「いーの!!だから!アンタ振られた方がお得よ?」


なんなんだ…?


良くわからない主張だな…


そして、僕らは夕飯を食べ終える


……


正直、ナナちゃんの考えが読めない


……


そうだな…たまにはマコ姉ぇに相談してみるか


マコ姉ぇ、キレイだし恋愛経験豊富そうだし!


時刻はまだ夜の8時


親戚の家だからお邪魔しても問題ない


僕はナナちゃんにマコ姉ぇに用事がある事を伝えすぐさま向かった