だけど…その約束は果たされずに終わる


「ゲホッ…!ゲホッ!」


「大丈夫?ランちゃん…?」


「…うん…」


あの約束をした1年後


私は骨肉腫に侵される


幼い身体に様々な投薬や放射線治療


髪の毛は抜け落ちカツラを被っていた


「あはは…こんなんじゃ女優になれないね…」


病室でマナミと話す


「ダメだよ…!約束したでしょ?一緒に仕事するって…!だから…元気になって!」


マナミは懇願するかの如く、手を固く握り、私を見つめる


「そうだね…うん…!元気になる…!」


だけど




その約束は果たされなかった





魂の状態で自分の告別式を眺める私


「うわぁぁあぁああ!!いやだ!!イヤだ!ランちゃん!!ランちゃあん!ゔあぁぁぁあ!」


狂人の様に泣いて棺に抱き付くマナミ





その後も、私は魂の状態で彼女の生活を見ていた


全く喋らない


誰とも会話しない


自分の部屋に籠り、1人で会話をする


「ランちゃん…今日は何して遊ぶ?」


「絵を描いて遊ぼうよ?」


「さんせー!」


1人で、何もない空間に話しかけるマナミ


そんなマナミの状態を見て私は思った


蘇りたい


まだ…マナミには私が必要だ…


その時


「確かにあの娘にはまだあなたが必要ね」


マナミの様子を見る私の真後ろから突然の声


「…誰…?」


「…死神よ」


「死神…」


死神という言葉に驚きはほとんど無かった


自分が死んで、魂の状態なんだ…


大した驚きは無い


「あなたの死は予定通りだったわ…だけどあのマナミという娘があんな状態になるのは予定外だわ」


「…何なの…?お姉さんは…?」


勝手に喋る女の人に若干違和感を感じる


「私は死神のエリと言う者よ」


「エリ…さん」


「あの娘にはまだこれから使命があるの…あんな状態じゃいずれは自殺するわ」


!!!


「自殺…自殺なんてダメ!…ダメだよ!」


「そうね……あなたはどうしたい?」





「…生き返りたい…マナミを……支えてあげたい…!」


「…分かったわ……」


エリさんは私の頭を優しく撫でる


「死神になりなさい…そうすれば現世に戻れるわ」


「ホント…?」


ニッコリと笑うエリさん


「ホントよ…修業して…あなた次第だけどね」


私はもちろん快諾した


修業でも何でもする





マナミを…



支えてあげたい…!