—私とマナミがまだ幼い頃—


「ほらぁマナミちゃん!泣いてたって何にも変わんないんだよ?」


「グス…うん」


マナミは泣き虫だった


マナミの一家、親類は権力の塊


「…何でお父さん達…ヤクザとかなんだろ…」


親類はヤクザ


実の父も市議会議員で相当の権力の持ち主


黒い噂が絶えなかった


実際、周りの大人達は我が子を前田一家に近づかせない為に、マナミから遠ざけていた


ヤクザの子供とは遊べない


その日もそんな酷い言葉を投げかけらたんだ


だから泣いている


「だからさ…それを上手く利用しなよ?」


「上手く…?」


「そーそー!権力を武器にたてつくヤツを蹴散ら…」


「それじゃますますお友達出来ないよ…クスン…」


「また泣いて……」


私は泣くマナミに寄り添う


「あのさ?」


「…うん?」


「私がお友達…それだけじゃダメ?」


私の問いかけにマナミは大げさに首を横に降る


「ううん!…ランちゃんが…お友達だから…私…何とか頑張れるもん!」


「ならオッケーじゃん?」


「…うん!…でもね…」


マナミは俯く


「私がランちゃんのお友達だと…迷惑じゃない?」


「え?何で?」


「だって…ヤクザの娘だし…」


「何でよ?それに、マナミちゃんのお父さんは…ぎいん、でしょ?」


「あんま変わんないよ…ヤクザの叔父さんと仕事してるし」


私はマナミのそばに寄る


「…そんなの関係無いよ!…私はずーっと、マナミちゃんのお友達…ね?」


するとマナミはニッコリと笑う


「うん!!」


そして、私達は将来の約束をする


「マナミちゃんは将来何になりたい?」


「うーん…お嫁さんかな?」


「いや、仕事なんだけど…」


お嫁さん…可愛らしい夢だな…


「仕事…そうだなぁ…女優とか…お花屋さんかな!」


「なんか、まとまりないね」


「あはは♪」


「ん…でも…女優かお花屋さんか…」


私は考える


「どっちになるかはまだ分かんないけど…私とマナミちゃん…一緒に仕事しない?」


「あ!それ素敵♪」


「それならずーっとお友達でいれるしね!」


そして、私とマナミは指切りをする


「約束だよ…!」


マナミは私を見つめる


「うん…もちろん…!」


固く…固く…


小さな小指で指切りをしたのを鮮明に覚えている