「分かった…」


ヒトミさんは腕を組みながら呟く


私はレンジくんとの個人レッスンを咎められた事を伝えた


「…まぁ、何にせよそう簡単に事はうまく進まない」


「ごめんなさい…」


「しかし…どうしたもんか」


ヒトミさんは缶ビールを開ける


「 もう告白しちまえよ」


「いや…部活や文化への影響もあるし…」


「ふむ…」


ヒトミさんは考える


「私が…出張るか」


ヒトミさんが…!?


「え…でも!委員会の隊長のヒトミさんが…」


「隊長だからさ」


ヒトミさんはビールを一口飲むと続ける


そして、タバコに火を点ける


「どのみち、そのナナってのには警告の意味を兼ねてやらなきゃいけないしね」


「でも!…万が一…戦闘になったら…」



ヒトミさんはタバコを燻らせながら呟く


「そんときゃそん時…必要なら殺す」



……!


「なんだ?…まさか怖気付いたのかい?」


ヒトミさんが私を鋭く見つめる


「い…いや…」


「桜川ナナは敵であると同時に、お前の友人でもある」


ヒトミさんが呟く


「だが……友人であろうと敵は敵…」


「でも…殺すまでは…」


「…甘ったれるんじゃないよ?」


ヒトミさんが灰皿でタバコを揉み消す


「アンタ…好きな男は殺すつもりなのに、他の奴は殺さないつもりかい?」


「い…いや…」


「そんな都合の良い事許されると思ってんのか?」


…確かにナナちゃんは敵


でも…友人でもある


それに…レンジ君の大事な幼馴染…


「ま…まだお前はガキンチョだね…」


確かにそうかもしれない…


「任務に私情を持ち込むな…どのみち、坂崎レンジも桜川ナナも生かしてはおけない」


「は…はい…」


私は…


今になって及び腰だ…


確かに…ナナちゃんは生かしてはおけない…


でも……


いや…


確かに私情は持ち込んではいけない…!


「ヒトミさん」


「なんだ?」


「ナナちゃんは殺さないでください」


「まだそんな事…」


「私が責任を持って殺します」


「ふむ…」


ヒトミさんは私を見つめる


「分かった…お前の気持ちを汲んでやろう」


ヒトミさんはまたビールを口にする


…私がケリをつけないと…



だけど今回はヒトミさんに一旦任せよう…


ナナちゃんはどう出るかしら?