(対象は上司とおぼしき女と会食)


「ふむ…会話の内容は?」


(ファミレスなので雑音が酷く聞き取れません)


ヒトミさんが送り込んだエージェントと何か機械を使ってやり取りしている


「そうか…絶対に交戦はするな…分かったな?」


(了解)


「ったく…なんだっけ?お祭りで坂崎レンジが相手してくれなかったからってそんなに落ち込む事無いだろ?」


「だって…」


「いじけたって何も始まりゃしないよ?アンタが監視してくんないから別動隊動かしてんだからさ…まったく…」


ヒトミさんは呆れた様子で私を見る


そしてタバコに火を付ける


「大体、別に振られたワケじゃないんだから…しっかりしてくんなよ…」


「うん…」


でも…なんかいつもと違った


ナナちゃんを見つめるレンジ君


ときめいている様に見えたんだ


「まぁまだチャンスはあるだろ?なんだっけ?部活…うまい具合にやれば良いじゃないか?」


そう…私がレンジ君との最大の接点は部活


何とか部活で彼との距離を縮めないと…!


「ねえヒトミさん…レンジ君が新型のインフルエンザにかかる時期っていつ?」


「恐らく今年の年の瀬あたりだ」


…今は夏休み…まだ時間はある




「まぁいいや…今日は私が昼飯を作ってやろう♪」


ヒトミさんはキッチンに立つ


「えと…塩辛は…」


「また塩辛パスタ?」


「だって美味いだもん」


「あんな塩分高いのダメよ!やっぱり私が作るわ!」


「はいはい…ちぇ…」


まったく…すぐビールのおつまみみたいな物に手を出すんだから…


私は普通に冷やし中華を作る


「おつまみにならないねぇ」


「今は昼!夜になってから飲んでよ…」


「はいはい…」


どっちが上司だか分からないわ…


ホント酒癖悪いんだから…


「あ、そうだ…聞きたい事あったんだ」


「ん?なんだい?」


ヒトミさんは冷やし中華を頬張りながら私を見る


「セックスって初めてはやっぱり痛いの?」


「ブハッ!」


「きったな!」


冷やし中華が私の顔に引っかかる


「げほげほ!…アンタこそ昼間からなんつー質問ぶつけてくんだ!」


「いや…だって…仮にレンジ君と付き合ったらエッチするわけだし」


「…えと…そりゃ痛いさ…」


やっぱり痛いのか…


「いきなり気持ち良いなんてなぁよっぽどの変態だよ…?」


「え!?でもでも!慣れたら気持ち良いんでしょ!?」


「あ…あのね…一応私だって女だからね…アンタなんなんだい…」


「だってぇ…知りたいし」


「別にセックスしなきゃダメって事じゃないし…要は気持ちだろ?」


気持ちか…


「付き合ってもいない内から何をきにしてんだよまったく…」


そうかな…いずれはするわけだし、やっぱり気になるし…


「まずは付き合う!それからキス!そしてセックスだろ?順序を間違えんなよ?」


「ヒトミさんて結構奥ゆかしいの?」


「アンタが脳内クソビッチなんだよ!」


そうなのかしら…?


うーん…自分が心配になってきたわ…