マコトさんは路地裏の一角の木の箱に座る


「私も…そう……なんだ…」.


さっきまでのキャピキャピした感じとは打って変わる


とてもさみしげな顔


「私さ、カレシいたんだよね…チョー好きでさ…」


「う…うん…」


まぁ1人や2人いそうだもんな…この人…


申し訳ないけど、男遊び激しそうだし…


「でもさぁ………二股だったの…カレシ…」


「ふ、二股…」


どちらかといえば、マコトさんが二股しそうな雰囲気なんだけど…


「で、浮気がバレたらソッコーさよなら…」


二股…


まさか…それで…


「私はさ、結局2番目で、身体だけの関係だったんだよね…」


瞳がジワリと滲む


「すごい好きでさ…色んな思い出あったのね?…それなのにさ…」


涙声で話すマコトさん



「マジで好きだったのに…結婚だって考えてたのに…グス…ふぇ…」


い、今にも泣き出しそうだ!


つか、既に泣いてる…


「あ…な、泣かないで…?」


僕はハンカチを取り出し、涙を拭ってあげる


「あ…ありがと…君、優しいね…」


「あ…うん…」


「えへへ…♪君みたいな男の子、中々いないよ?」


「そ、そうかな…」


「あ、さっきの続きなんだけど、それで首吊りしちゃったんだよねー私♪アハハハハハハハハハ!」


「い、いや…それは爆笑するトコじゃないと…」


死に方を言われても…


「マジで苦しーつの!!マジで死ぬかと思ったわ!」


「い、いや…死ぬかとって死ぬつもりで首を吊ったんじゃ…」


「あ、そこちゃんとツッコミ入れてくれんの?センス良いね君!」


なんだろ…マコ姉ぇくらいの年だろうけど…明らかにイマドキって感じ…


どうする…一応は信用出来そうだけど…


「君、カノジョいんの?あ、いたのってのが正解かなぁ?半分死んでっし」


まぁ…ウソはついても仕方ないし…


「まぁ…います…」


すると


「はぁ!?なんでそれで自殺とかしてんの?別に私みたいに浮気されたワケじゃないっしょ!?」


「あ…ま、まぁ…」


別に自殺した訳じゃないんだけど…


「マジでカノジョがカワイソーじゃん!」


「あ…いや…なんと言ったら良いか…」


「多分、私と一緒で肉体は死に切れずに生死を彷徨ってるんだよ!?」


「ま、まぁ…そうなりますね…」


「絶対!絶対生き返ったほーが良いって!」


マコトさんがいきなり僕の手を握ってくる!


「あ…いや…まぁ…はい…」


「でも、私が通報したら私まで戻されちゃうからなぁ…」


「そ、そうですね…ま、マコトさんは戻る気無いんですか?」


「うん、これっぽっちも」


随分とアッサリしてるな…


「でも…お母さんやお父さんが心配してるんじゃ…」


「あー親?してないしてない!ぜってーしてねーっての!」


「な…なんだまた…」


「ウチの親、出来の良いねーちゃんにはほめたりしてるけど、出来の悪い私は可愛くないのよね…だから」


…あまり…愛されてないのかな?


「どーせ厄介者なんだから、死んだって大して泣きもしないっての」


……


なんだか…色々抱えてるんだな…


マコトさん…


これっきりっというのはあまりに薄情だな…


何か…力になれたら…