エリさんに連れられ表に出る僕ら


ちょうど裏庭的な場所


「さ、武器を出しなさい」


「あ…はい…」


指示に従い、僕は刀を取り出す


しかし、僕は刀の使い方なんて分からない


「ふむ、これで良いか…」


エリさんは近くにある鉄パイプを手に取る


まぁそうだよな…


僕はまったくの素人


刀の使い方や構え方を教えてくれるんだよな…


長さにしたら50センチくらいで太さは自転車のハンドル位だろうか


それを手にしたエリさん


しかし、エリさんの口からとんでもない言葉が飛び出る


「訓練なんて生優しいもんじゃないからね?そんな時間無いしね…実戦的にいくわよ?」


「え…?」


「ちょ…!?エリさん!?レンジ素人だよ?」


ナナちゃんも焦り出す



「鉄パイプでも当たったら痛いとかじゃ済まないからね…死ぬ気で避けるなり反撃するなりしなさい」


「えぇ!!?そ、そんな!?いきなり!?」



「いくわよ?」


構えるエリさん


「う、うわわ…」


―ビュワッ!!―


ものすごいスピードで突進してくるエリさん


―ギィィィィン!!―




「…へぇ……」


何故だろう…


不思議と刀で攻撃を防御出来た…


「あのスピードでの攻撃を抜剣してから弾くとはね…」


エリさんが何故か感心する


「ど、どういう事なの!?エリさん?」


ナナちゃんも驚きを隠せない


「カルマの戦闘能力が既に体内にあるのよ」


「え?でも僕は…剣術なんて身に覚えがありませんよ?」


「あなたはなくても、内に秘められたカルマの潜在意識はしっかりと反応してるわけよ」


「え…でもさ、私がレンジを叩いたりした時は普通に叩かれてたよ?」


た、確かにナナちゃんの言う通りだ…


さっきムチで叩かれた時も何も出来なかったのに


「ナナ、あなたレンジ君を本気で殺したり、痛めつける気はなかったでしょ?」


「も、もちろんだよ…」


「要は殺気よ…私の見解だと、恐らくはそうね…よし、ものは試しね…次はスピード上げてドンドンいくわよ?」


す、スピード上げてなんて…さっきのでも速すぎるのに…!


「そら!!」


ギィン!ギィィン!


さっきよりもスピードは速いし、威力もすごい…!


しかし、何故か防御出来る


「ふむ…防御は出来るけど反撃が無いわね…」


「い、いや…エリさんに攻撃をするなんて出来ないですよ…」


「…何故かしら?カルマの潜在意識や潜在戦闘能力がありながら反撃してこないのはおかしいわね…」


エリさんは深く考え込む


「……レンジってさ…よっぽどじゃないと怒ったりする事無いわよね…特に女の子に対して…」


ナナちゃんがポツリと呟く


「そうか…生まれながらにしてのあなたの優しさという気質がかなり強いわけね…」


優しさ…そんなつもりないんだけどな…


「……なら、殺気を強める他ないわね…」


「い、今までので殺気無かったんですか!?」


防御してても痛かったのに…


「…次は容赦しないわよ?」


「ひぃぃぃ…!」


「いくわよ!」


またエリさんが構える


−ギャァァン!!−


もの凄い音と共に飛び跳ねる鉄パイプ


「…様子が変わったわね…鉄パイプを弾いたわね…」


弾いたのは良いけど手が痺れる…!


「しかし、反撃とまではいかないわね…何故かしら…」


「れ、レンジは向いてないんだよ…戦闘に…」


「そんなんじゃ困るのよ…彼にも戦ってもらわないとこの先キツくなるわ」


そんな事言われても困る…


しばらくエリさんの訓練が続く…