チップ・スキャナー、それはチップをはめることで多くの機能を持つことができる、

エナジーでの必須アイテム――。

露店を覗くと多くのチップが売られていた。

「あ、あのー……」

サクラとダイチはチップのことが全くと言って分からなかった。

「んぁ?なんだ?」

「チップのこと全然分からなくて」

「あぁ、それならあそこだ!! 見えるだろ赤い旗の店が、そこでなら分かるはずだ」

親切なプレイヤーはそう言って立ち去った。

言われた店には、多くの本が並んでいた。

「ここで分かるってどういうことだろう?」

小声でサクラはいった。

「多分だけど、本があるんじゃないかな?」

ダイチもまた小声で答えた。

その後も店をウロウロしながら、ときどきヒソヒソと話した。

「お前らなんか探してるのか?」

ついに店主も気になって、聞きに来た。

「オレ達、チップのことが気になって、聞いてみたらここへ行けば分かると言ったから……」

「あぁ、初心者の子だね。はい、これ」

そう言って薄い本を差し出した。

『チップガイド』

そう書かれていた。

「ありがとうございます。あのお金は?」

「それは初心者のかたならタダで配布してるもんだからいらねぇよ」

そうして店をでて、本を開いた。

交信(コミナル) 遠く離れた人でも、一度会っていれば、遠距離会話が可能になる。

繋橋(ゲート) 今までに行った場所へ、亜空間を通じて、移動できる。

交渉(チェンジ) 遠く離れた人でも、一度会っていれば、遠距離でのアイテム交換が可能になる。(交信の効果も含む)

本を閉じる。道の真ん中をゆっくりと歩く。

町には活気が溢れている。

「とりあえずこのチップが売ってる店にでも行ってみる?」

「そうだね」

町はずーっと緩やかな坂が続いている。

南へ、下へと坂道を降りてゆく。

「見て!! 海だ」

サクラはそう言うと走っていった。

防波堤を越えると、砂浜が広がっていた。

あちらこちらに貝殻が落ちている。

ダイチはチップの売っている店をとあたりを見回した。

「サクラ、行くよ」

「あぁ、あいあい」