来た。


ぼんやりと俺を見ている。


声をかけると、慌てたように挨拶された。


元気そうだな。よかった。


安心して、同時に不安が押し寄せた。


幼馴染くんに何をされたんだろう。


どうして、泣きそうだったんだろう。


尋ねると、和子ちゃんはフリーズした。


固まって何か考えている。


「言いにくいなら、言わなくていいよ」


なんて返ってくるか、怖かった。


勇気がなくて、答えられる前にそう言ってしまった。


何かされていたら、あいつを許せなくなりそうだ。


きっと怖い顔をして、和子ちゃんを怖がらせる。