リミット



〜和子side〜

しばらく空き教室で休んで、少し落ち着いたところで自分の教室に戻った。


いち君がいるけど、筆は届けなきゃ…。


渡したら、体調悪いって言って抜けよう。


おそるおそる入って見渡すと、いち君の姿はなかった。


ほっと息をついて春ちゃんに声をかける。


「はいこれ」


「ありがとー。遅かったね」


「ごめん…」


「いいよ。何かあった?」


言葉に詰まった。言うべき…?


「…あ、えと、ちょっとね」


「もしかして、体調悪い?」


私の頬っぺたを触って、熱はなさそう…。と呟く春ちゃん。