リミット



人通りが少ない廊下、空き教室を回ったけど、和子ちゃんは見つからなかった。


「くそ……」


俺より先に、あいつが和子ちゃんを見つけたかもしれない。


悔しさと焦りが俺を支配した。


「あ!おーい羽柴ー!」


俺を呼んだのはクラスメイトだった。


「お前どこまで行ってたんだよ。
頼んだ筆は?」


「忘れた…」


「は?それじゃあ今まで何してたんだよ」


それどころじゃなかったんだよ…。


「悪い…」


もう1度美術室に行くのは気が引けて、そいつに押し付ける。


「じゃあ羽柴は教室の方手伝って」


他のクラスメイトが来て、もう和子ちゃんを探しにいけなくなった。


放課後、教室に行くか…。


…俺が行ってどうするかはわからないけど。