リミット



〜優side〜

驚いた。


同時に体に力が入った。


和子ちゃんの表情は泣きそうで、何かがあったことは確かだった。


幼なじみ君が、何かしたのか…。


「どーも」


薄ら笑いを浮かべて、俺にそう言う。


苛立ちを覚えた。


和子ちゃんと目が合うと、さらに泣きそうな顔になった。


こいつ、何をしたんだ…。


幼なじみ君が和子ちゃんに触ろうとすると、それを避けて、そのまま出て行ってしまった。


走り去る背中を見て、追いかけたい衝動に駆られた。


でも、俺が行って、いいのだろうか…。


一瞬迷うと、幼なじみ君が近付いてきた。


「先輩、怒ってますよね?
感情、表に出にくいんですね」


相変わらず薄ら笑いで、俺を見下ろす。


くそ、こいつの方が背が高い…。