リミット



「和子、大丈夫…」


俯く私に、いち君が手を伸ばした。


私はその手を避けて、とっさに美術室を飛び出した。


すれ違う時に優先輩の顔を見ずに、ただ逃げるように美術室を後にした。


否定したかった。優先輩に。


いち君とはなんでもないって。


でも今は、ただいち君から離れて落ち着きたかった。


いろんなことが1度に起きて、頭がついていかない。


そのまま空き教室に入って、ペタンと座り込んで息をついた。


冷たい空気が、心地よかった。