「それだけ?」 優先輩の声が、いつもよりかたい、のは気のせい…? 「それだけって…。そうです」 なんでそんなこと聞くんだろ? と、先輩が私に近付く。 目の前に、優先輩。 「あの…?」 そう言った瞬間、先輩の手が、私の手に触れた。 「え、…」 触れているのか、わからないくらい、かすかに。 動揺する頭の片隅に、もっとぎゅってしてほしい。なんて思いが浮かんでいる。 先輩の熱が、かすかに伝わる。 もっと、先輩の熱を、感じたい。 もっと触れたい。